THE WHO 『 QUADROPHENIA 』

mikadiri2003-10-24

「フーは熱いぜ!」「『さらば青春の光』はアツイ映画だぜ!」と言いつづけて来たくせに、何故かこの『四重人格』を聴いていなかった駄目駄目な僕。先日ようやく日本盤の中古で満足できる値段のものが見つかりまして、購入いたしました。
さっそくプレーヤーに入れ再生。まず聴こえるのが波の音。その後ろに小さく流れる音の連続。壮大なドラマを予感させる始まりです。そして突然流れ出す「The Real Me」のイントロ。これだけで僕はやられちゃいました。ピート・タウンゼントのソロ・アルバム的な文脈で語られることの多いこのアルバムですが、そんなことは無いですよ。ジョン・エントウィッスルのベースはフレットの間をぐるんぐるん移動し続けますし、キース・ムーンのシンバルを多用する金属的ドラムも健在、ロジャー・ダルトリーの必要以上に熱いボーカルもあり、まさに「四人揃ってザ・フー」な作品です。だいたい『四重人格』というタイトルも、フーのメンバー四人の性格をモチーフにしているらしいですしね。
さて、聴きどころは、というと――これが困ってしまう。「ここがカッコイイ」とか「このフレーズが」とかポイントを挙げて感想を述べることが出来ない作品なのです。全体がカッコイイ。とりあえずロック好きなら聴いてみようぜ、としか言えません。『フーズ・ネクスト』が嫌いな人には合わないっぽいですけど。
ロック・オペラと呼ばれるこの作品ですが、その「通称」のせいで食わず嫌いをしている人が多いように思われます。『トミー』に関しても同じことが言えますね。特に初期のフーを好きな人ほどその傾向にある気がしてなりません(違うバンドの話になりますが、キンクスロックオペラ時代も敬遠され気味な感じがします。カッコイイのに)。「オペラ」なんていいつつも、ちゃんとバンド・サウンドは健在ですから、どんどん聴いてほしいものです。

余談・映画『さらば青春の光』は、様々な突っ込みどころに溢れた名作ですから、見たことない人はチェックするべき。モッズ族のリーダーがスティングというあたりにネタ臭さを感じ取る人には特にオススメ(笑)。