OTIS REDDING 『 THE DOCK OF THE BAY 』

寒くなってきました。最早全裸では外を歩けないくらい寒く。しょうがなく僕は服を着るんですが、このオーティス・レディング『ドック・オブ・ザ・ベイ』を聴いていると、身体の奥底が熱くなり、「パッションパッション夢見てパッション!」と叫びながら身を纏うものを脱ぎ捨てたくなります。そんなアルバム。どんなアルバムだよ。
冗談はこの程度にして。こういったバラード系ソウルナンバーにはやはり冬が似合いますね、ということを言いたかったのです。スローテンポの曲でもオーティスの歌声はソウルフル。アップテンポの曲だとますますソウルフル。ミドルテンポの曲だって至ってソウルフル。つまりオーティス・レディングという人は寒い冬を歌声一つでポカポカにしてくれる熱いお方なわけです。
M1「(Sittin'on) The Dock Of The Bay」は彼にしてはしっとりしたナンバーで、港にたたずむ哀愁溢れる男の姿が目に浮かびます。僕はレコードに針を落とし、歌が始まった瞬間にヤられました。ああ、なんてクールなの!と。それでいてホットでもあるわけですから(別にラジカセで喋ったりはしない)、僕が女性だったら当然濡れていたろう、と思います。残念ながら僕は男性なので、服を脱ぎ捨てて「オゥ!」とジャケット写真のオーティスのように叫ぶしか出来ないわけですけれども。
もちろん、もちろん「服を脱ぎ捨てる」というのは誇張ですよ。しかしソウルの基本というのは「裸」にあると思うのです。脱衣とかそういう意味とは違い、歌い手が己を開放している感じ。「アアアーッ!」って叫ぶ、ある意味では原始的な自己主張が音楽というフォーマットを通すとここまでカッコイイものになるのですねえ。やはり人間の生活に音楽は絶対必要であるということ、そして服を着るのは大して重要じゃないということ、その二つを気づかせてくれるアルバム。どんなアルバムだよ。

最近の「R&B」と呼ばれるものは、なんつーか服をきっちり着すぎなんですよ。だから面白みがないんですよ。お前ら全員脱げ、と言いたい。ものどもマラを出せい! と叫びたい。……実際脱がれても困るんですけどね。