ドラえもん第一話

『ドラえ本』というのは基本的にドラえもんグッズを紹介するムックなのですが、そういった物品には興味のない僕がなぜその本を持っているのかというと、3冊目のドラえ本には単行本未収録の第一話が収録されているからなのであります。しかもカラー。プレミアもついてないし、こりゃ買わずにいられない。
ドラえもんは連載開始時、六つの雑誌に掲載されました。『小一』〜『小四』、『よいこ』『幼稚園』の六誌。てんコミ1巻に収録されているのは『小四』バージョンで、その他は未収録というわけです。で、『ドラえ本3』で復刻されたのは、『小一』バージョン。「バージョン」ってのも何かへんな言い方だな(笑)。
まず驚くのが、パパとママの驚くべき甘さ。のび太が何をやっても叱らない。甘やかしまくってます。まあ小学一年生向けの漫画ですから、「会社丸焼け記念」とか「火あぶり」だとか「やあ首吊りだ、ガハハ」なんて危険なネタは避けたのでしょう。それにしてもママが気持ち悪い。「まあ、どうしたの、のび太ちゃん。」だなんて、お前誰だよと言いたくなります。
その甘やかしっぷりに駄目出しをするのがドラえもんセワシ。なかなか上手い運び方です。初期のドラえもんがずんぐりむっくりなのは有名なところですが、カラーで見るといっそう変。なんと手足が肌色! 気持ち悪い(笑)しかも尻尾が青い! お前誰だよ!(笑) 
話自体は、のび太の失敗をドラえもんセワシがフォローする、というまっとうな形。てんコミ版のようにドラえもんのドジっぷりが発揮されません。この辺も子供にわかりやすいようにした結果なんでしょうね。しかし、「ヘリトンボ」の説明が面倒だからといって、ドラえもんが何も使わずに空を飛ぶのはどうなのか(笑)。普通に飛んじゃってますよこの人。最後まで「お前誰だ!」のまま第一話は終了。最後のページのアオリ(っていうんですかね、編集者が書くコメントみたいの)に、「おもしろかったですね。らい月ごうをおたのしみに。」と書いてあります。「おもしろかったですか?」ではなく、「おもしろかったですね」と強制的に同意を求める小学館。自信家だなあ。

こういった復刻はどんどんやるべきだと思います。欲を言えば雑誌の付録などではなく、単体のコミックスとして出してほしいものですが、ことF氏関連のことになるとケチになる小学館、それは期待しないほうがよさそうですね。「ぼくドラ」で未収録が復刻されるだけよしとしましょう。