「ぼくドラえもん」創刊号

さあ話題騒然(ごく一部で)のこの雑誌、皆さんご購入になりましたか? 大変濃い雑誌です。「ぼくドラえもん」なんていう柔らかなタイトルとは裏腹に、完全に子供を置き去りにした、ドラえもんマニア向けの本です。お子さんをお持ちのお母様、ゆめゆめ「まあドラえもんだわ、うちのタロウちゃん喜ぶワ」なんて思って買い与えないように。お子さん、戸惑います。
雑誌の内容自体は「ドラえ本」を踏襲したようなもので、グッズ紹介、インタビュー記事、著名人によるエッセイ、映画関連テキスト、F氏の愛用品にまつわるエピソードなど。これはこれで興味深いものばかりなのですが、まあ普通といってしまえば普通です。なんといっても注目すべきは雑誌本体ではなく、付録です。
まず一つ目。テレビアニメ第一話のパイロット・フィルムと映画ドラえもん予告編が収められたDVDですが、これは凄い。これだけで優に五百円以上の価値があると思うのですが、なんとそれがタダでついてくるんですよ。びっくりだ。パイロット・フィルムは「勉強べやのつりぼり」。つまり「おざしきつりぼり」を使った話なのですが、相当クオリティが高いです。原作の雰囲気を崩すことなく再現し、なおかつアニメオリジナル要素も加えてあり、「漫画をアニメ化する」というプロジェクトにおいて理想的なものになっております。個人的に、スネ夫の底意地の悪さ、ママの強権発動っぷりなどが楽しめました。このときはまだドラえもんが「ウフフ」なんて薄気味悪い笑みを浮かべてませんね。ほんといつからおかしくなってしまったのやら。
映画の予告編のほうはというと、少し編集に問題がありましたが、別に不満はありませんでした。やはり昔の予告編を見ると、ノスタルジックな気分になってしまいます。エセ外国人風味のナレーションで「ドゥラエモゥン ノビタとlittle star wars」(ローマ字部分だけ流暢)とか言われても、こっちは困ってしまいますよ。一見の価値あり、です。
個人的に一番楽しみにしていたのが、てんとう虫コミックス未収録話を収録した小冊子。やはりというかさすがというか、装丁はてんとう虫コミックスに準拠していて、コレクター魂をくすぐります。「にっくきあいつ」と「クエーヌパン」収録。おそらくFFランドに収録されていたものだと思うのですが(かすかに記憶があった)、まあてんコミ未収録をこうして世に出してくれた、ということは評価したいと思います。欲をいえばこれを単体で発売して欲しいんですけどね。小学館め。
「にっくきあいつ」では、しずちゃんが大学生の家庭教師になついてしまい、のび太が大騒ぎします。「これでも飲ませるか」とドラえもんが助け舟を出そうとしたとき、のび太は大喜びで「毒薬!」と叫ぶ。なんとなくてんコミに収録できなかった理由がわかりましたね。気に入らない相手はまず毒殺とは、なんという小学生なのか。相当笑いました。


とまあ、こんな感じでかなりお得な雑誌です、「ぼくドラ」。ドラえもんファンなら買って損なし、というか買わないと後悔しますよ。次号の付録は「のび太の家」だそうで、これまたマニアしか嬉しがらない微妙なアイテムですね。これから一年間、楽しくなりそうです。