pixies DVD (ASIN:B0001XARDQ)

mikadiri2004-06-01

去年の頭くらいから噂は出回ってて、4ADピクシーズ所属のレーベル)のサイトでも「DVDが出るかもしれない。来年の春くらい?」みたいな、出るのか出ないのかハッキリせいや的文章がアップされたりして、我々ファンはやきもきして己の右乳首を弄んで待っていたわけですが、僕がネットに触れられず、情報に疎くなっている隙にいつの間にかリリースされてました。ええ、当然話を聞いた次の日に即買いでしたとも。
コンテンツは四種類。1988年5月1日にロンドンで行われたライブの模様と、プロモーションビデオ集、ツアーの舞台裏なのどを収めたドキュメント映像、そして最後に著名人たちがピクシーズについて語るコーナー。さすが、長い間待たせただけあって、文句のつけようのないラインナップです。大ボリューム。
これまで動くピクシーズといえばブートのビデオを片っ端から漁るしかなく、公式にリリースはされていませんでしたので、ライブ映像は皆さん心待ちにしていたことでしょう。1988年ということは『サーファー・ローザ』というアルバムをピクシーズが発表し、「なんかこいつらやべえんちゃうの?」というピクシーズ熱が盛り上がっていた時期のライブです。当然、演奏された曲目は『サーファー・ローザ』中心。僕はこのアルバムが大好きなので、画面に釘付けですよ。
軽快なエレアコのイントロで始まる「The Holiday Song」。ああ、こんなの生で見たら理性が吹っ飛んで「キャー」とか言っちゃうんだろうなあ、と思いつつ身体を揺らして鑑賞。続いて「Nimord's Son」。これは『Come on pilgrim』という彼らの処女作の曲順と同じですね。やはり切っても切れない関係なのか。キム・ディールのコーラス、ブラック・フランシスの絶叫。ああやっぱりこれがピクシーズだよなあ、と二曲目にして何故かノスタルジーな気分になってきました。
フランシスがギターをテレキャスに持ち替えている間にドラムのイントロが鳴り響く。そう「Bone Machine」です。ドラム→ベース→ギターと重なっていく展開は何回聴いてもゾクリとします。キムのコーラスもますます冴える。「Ed is Dead」では二回もフランシスのギター弦が切れるというトラブルに見舞われますが、動じることなく唄い続けます。しかしギター無しで唄うことに慣れていないのか、動きが相当不審です。フラフラしてます。笑えます。
ピクシーズ史上最強の変態楽曲と名高い「Vamos」もちゃんとあります。もうこれはギタリスト、ジョーイ・サンチャゴの独壇場。奴の変態っぷりが漏らすことなく収録されています。高速スライドプレイ、ピックアップセレクター高速切り替えプレイ、アンプをガタガタ言わせちゃるプレイ、ハイネケンの空き缶でギュワンギュワンプレイ、ピックアップをアンプに密着させ振るわせまくってフィード・バックプレイ――――とにかく変態。必見です。そのジョーイ・サンチャゴ、顔はベトナム系です。とにかく必見です。
そして本編最後の「IN HEAVEN」ではフランシスが何故かギターを片手で振りながら唄います。案の定、マイクスタンドにギターをぶつけ、慌ててスタンドを押さえる。客が「ホオー」とか言ってて笑えます。懲りずにフランシスはギターを振り続ける。とても唄いにくそうです。ギター置けよ(笑)。
アンコールを受けて演奏したのは、最強の疾走ソング「Tony's Theme」。カッコ良すぎです。咥えていた煙草をポイっと投げ捨てベースのイントロを弾くキム女史。これは惚れる。そして正真正銘のラストは、ビートルズの『ホワイト・アルバム』に収録された「Wild Honey Pie」のカバー。曲を始める前にキムが「次はカバーよ」って言ってましたが、元ネタわかったヤツいるのか? それくらい原型をぶっ壊してます。ビートルズの曲というよりピクシーズの曲になってしまっている。やはりこいつらは只者じゃない。
と、あっという間の15曲。演奏がヘタレていたところもいくつかありましたが(ピクシーズは基本的にライブが上手いバンドではないみたい)、お腹いっぱい、満足であります。「Debaser」や「Wave of Mutilation」といったバンドの代表曲が収録されていないことに不満を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが。


その他もコンテンツも、ピクシーズファンなら見逃せないものばかり。これ以上書きまくるとクソ長くなってしまうので省略しますけど、とにかくいいDVDですよ、これは。国内盤が出る可能性も無きにしもあらずらしいですけど、ピクシーズのことだから多分出ないでしょう。だから買っておくべき。というか、国内盤が出たらそっちも買えばいいだけです。ピクシーズは今年のフジロックで初の来日を果たしますが、それに行けない悲しい状況にある人は、このDVDで鬱憤を晴らしましょう。