V.A.『my room is delicious vol.1』

mikadiri2004-07-08

久しぶりに引っ張り出して聴いています。ピロウズ山中さわおが主宰しているデリシャスレーベルに所属する人たちが宅録した曲を集めたオムニバス。一時期さわお宅録にハマっていた時期があって、勢いでリリースされました。チューインガムウィークエンド解散後、メンバーによる初めての音源が収録されたという点でガムふぁんには価値ある一枚。現在はピロウズのベーシストとしての活動が主になっている鈴木淳の「fragments」と、山中さわおとは昔からの友人である岩田さんの「HERMIT」がそれなんですけど、明らかにその二組のレベルが突出してます。気合入ってます。「え、宅録なの?」と言いたくなるような出来。HERMITのほうはギターがライン録音っぽい音になってますが、fragmentsのほうはスタジオ録音といってもさしつかえないほどですね(実際ドラムはスタジオで録ったらしい)。カッコいいです。他にもヌードルスの面々(YOKOさんのやる気のなさが最高)や、テルミン奏者など、まあ色とりどりな一枚です。
さて我らが山中さわおは、というと。これもまた素晴らしい。僕の友人は「ピロウズよりもいいんじゃないのコレ」って言ってましたけど、確かに、宅録特有のほどよい力の抜け具合が、相当いい方向に働いています。超高級マンションスタジオ(アパートにKORGのD-8というMTRとBOSSのDR-5というドラムマシンを置いただけ)ならではのチープな出来は、味がある、というに相応しい。ピロウズの「Thank you,my twilight」という曲でも聴けるピコピコシンセ音は、ここでも聴けます(「Thank you〜」のほうも元々宅録でやるつもりだったらしくシンセ音が入っていますが、周りの人に「これはピロウズでやれ!」と言われたそうで)。癖になりますよ、このシンセ音。ピロウズ「Sleepy Head」や「She is perfect」や「21fingers」なんかで用いられている、「始めリズムがずれてるっぽいけどいつの間にかカッチリきてる」という山中さわおが好むアレンジ法がここでも使われています。このやり方大好きです。地味に歌詞がド級の鬱詞なのも見逃せない。山中さわおファンならばこのオムニバスは聴き逃せませんよ。しかしこのバスドラの音、やる気ないな(笑)。
ジャケット画像は「vol.2」のものですが、単に「1」の部分が「2」に変えられただけでほぼ同じジャケなのでこれでカンベンしてください。「vol.1」がamazonだと画像無しなんですよ。