ねとらじその後

ネットラジオの放送を終えた瞬間に家を出てセブンイレブンに向かい労働に精を出すも、放送中に煽った日本酒の残り香が僕の睡眠欲を十二分に刺激し、幾度かトリップしそうになったりして、実際トリップしたりして、頭の中ではザ・フーの「ババ・オライリィ」がエンドレスで流れていたりして、ふらふらになりつつ拝んだ朝日の光は思いのほか綺麗で、でもゴミ捨てをしている僕は思いのほか汚く、ああこれが俗に言う「大自然の驚異」でありますか、と見当違いの感慨に耽っていたところ退勤時刻が僕を優しく抱きしめてくださいました。しかし長い一日はそれで終わったわけでなく、僕の家にはいまだ友人が軟禁されており、というのも僕が自室の鍵をついつい持ってきてしまったからで、彼らは食料を買出しにぶらりと出かけることすらできない状態にあったのであり、きゃべつ太郎一袋で一夜を明かせるとも到底思えず、このままでは彼らが餓死しちまうがな、はよう帰らな、はよう、などとおそらくこの日本国に存在し得ない方言で考えつつ帰宅すると友人二人はギガンテスにレイプされたハーゴンの騎士のような格好で眠りについていて、デジカメを持っていなかったことを一等後悔した次第です。その後諸々あり、詳細はご想像に任せるとして、まあとにかく友人を駅まで送り届けたわけで、これで忙しいながらも楽しかった一日は終わりなんだなあと思いつつ自転車を駆って帰途についたのであった。道中でとある店、つまりと一般的に「書店」と呼ばれる「紙を束にしてまとめたものを夏季においては比較的低い温度で保存しつつたまに売りつける」店にでかけ、僕という人間様よりも明らかに恵まれた条件の下で日々を過ごす書物に最大限に嫉妬しながら店内を徘徊し、結果漫画本を二冊ほど購入した。店を出て「暑いなあ」と思った瞬間(正確には「アツ」の時点で)鼻血が僕の鼻腔から垂れ流された。突然のことに驚いた僕は「なんじゃこりゃあ」と素でのたまった。ティッシュも何も持っていず、紙といえば先ほど購入した漫画本しかなかった僕はしょうがなく鼻の根元を押さえながら自転車のペダルを必死こいて漕いだ。途中何人かの人間らしき動物とすれ違ったが、誰一人として僕にティシュを恵もうとする御仁はおらなかった。その場で竜巻旋風脚を繰り出して四方八方に血液を飛び散らかしてやろうかと考えるも、自転車に乗りながらの竜巻旋風脚のコマンドがわからなかったので大人しく家に帰り、顔を洗い、鼻にティシュを詰め、まだら模様になった白いTシャツを洗濯し、――ようやく現在に至る。



疲れた。