朝焼けの地平線 そこに立つ裸足の男 そうだよ乳牛掲示板

いろいろあって久しぶりにギターを弾こうと思い立ち、ジャララーンと鳴らしてみたら「ジョブワオウアーン」みたいな不協和音が鳴り響きまして、ああこれは放置のし過ぎで音が狂いまくっておるなあ、とチューナーを取り出しシールドをぶっ挿しスイッチオンしたらバッテリー切れで、しょうがねえ音叉で何とかするかあとギターケースの中を探してみても音叉は見当たらず、こうなったら携帯電話のプッシュ音で「A」の音を鳴らして強引にチューニングしてやる、と携帯電話を見ると素晴らしく充電切れ、あーもういいや、絶対的に音が合ってなくても相対的に合ってれば、と1弦のペグをキイとまわしてみたらピンと弦が切れて頬に当たって少し痛いぞドチクショウ――そんな今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしですか。最近、「挨拶に入るまでがクソ長い日記」を目指して精進しているミカヂリです。まあとにかく寒いですね。ドラえもんが風邪ひいてくしゃみしてネジを落っことしちゃうくらい寒い。加えて僕はこのところ散財を繰り返していますから(『ピューと吹く!ジャガー』のコミックス買っちまった)、フトコロも極限まで寒くてですね、これはもう、どうしようもないのではありませんかと思う次第でありました。
しかし、寒さに震える僕らを尻目に、乳牛掲示板は今日も元気でした。「乳牛掲示板?」とクエスチョンマークを首にぶらさげてる方々にご説明いたしますと、僕の居住する区域からちょっと離れたところにひとつの掲示板がありまして、その近辺に地域の書道教室があるのかどうかは知りませんが、とにかくその掲示板には小学生が精魂込めて筆を走らせた作品が飾ってあるのでございます。それだけ? なら普通じゃん、とお思いでしょう。でも、それだけじゃないのです。半紙に書かれている文字が問題なのです。八枚掲示してあるうちの六枚が「乳牛」だったり(「乳牛掲示板」という名前の由来はここから)、「犬」が「左右」してたり、「はと」が「上下」してたり、とにかくその組み合わせが絶妙でありまして、僕は、バイトの帰り道に見かけるその掲示板の、密かなファンだったりするのでございます。


前置きが長くなりました。とりあえず、昨日の朝、更新されていた八枚のお習字をご紹介しましょう。

「仲間」「拍手」
「希望」「美しい朝」
「ビル」「生命」
「上下」「文字」

誰もわかってくれなくていい、わかってくれなんて言わない。とにかく僕は、「仲間」「拍手」「希望」「美しい朝」というさわやか三組的な、もうこれ以上ないほどオーソドックスなお習字が並んでいる横に「ビル」という二文字があっただけで吹いたのだ。鼻水を吹いたのだ。「ゴブホっ!」と吹いたのだ。むせたのだ。思わず自転車を止めたのだ。止めないと転んでしまいそうだったのだ。自転車を走らせていて、遠くにまず見えてきたのが「仲間」と「拍手」、ああ、普通だなあ、不発かなあ、と思いつつ自転車のペダルをこぐ僕に「希望」と「美しい朝」、ううん、乳牛掲示板ももう終わりかなあ、諦めかけたところに「ビル」。なんと、美しい。「ビル」「生命」「上下」「文字」。もはやこの四枚には神々しさすら感じる。もしこの乳牛掲示板をプロデュースしている方が宗教家デビューしたならば、僕は迷いなく45万円の壷を買うでしょう。そして壷を抱きかかえながらビル街にその身を潜ませ、喧騒に生命の息吹を発見するでしょう。「文字」なのだ。これは「文字」の力なのだ。僕は言葉が大好きだ。日本語が大好きだ。この世界が大好きだ。さあ息を吸おう。言葉を吐き出そう。世界中の皆さん、グッド・モーニング。


原子心母

乳牛的参考リンク

id:mikadiri:20040902#1094084827
id:mikadiri:20041011#1097447749
id:mikadiri:20041104#1099520283