題名のない音楽会21

笑った。才能のある大人が本気出してバカになると、やはり太刀打ちできません。「マツケンサンバⅡ」の作曲者として有名な(有名なんですか?)宮川なんとかさんが来襲して、様々な音楽的「発見」を披露してくれたんですけど、決して大層なものではなくて、「発見」というより「実験」というかなんというか。たとえば若者が「これやったら面白くね?」「おお、マジ面白そうじゃね、やろうぜやろうぜ」と盛り上がりつつも結局やらないようなアホ度たっぷりアイデアを、そのままやっちゃった、という感じですね。「あんたがたどこさ」という童謡の「煮てさ、焼いてさ、食ってさ」のあと、「それを木の葉でチョッとかぶせ」という歌詞が続くところ、この二つの間には見えない一行がある、と宮川氏は言うわけです。何を木の葉で隠すのか、考えてみましょう、と。ええ、便です。しかも大きい。つまり「排便」という重要なプロセスが抜けている、と彼は主張するわけです(書いててバカらしくなってきた)。じゃあその「見えない一行」、つまり「排便」を、音楽でやっちまおうじゃないかということで登場したのがサックス。サックス奏者も真顔で排便音を情緒豊かに吹き鳴らすもんだから手に負えない。なんというバカ。やりやがった。やれちゃうのが凄い。もうちょっと低音が欲しいとも思いましたが、排便時における「空砲」の音域をカバーできるのはやはりサックスなのでしょう。空砲は重要です。低音でブリバリされても、そこには「芸術性」がない。押しと引き、静と動、屁と便、やはりその「隙間」にこそ生じる奇跡があるわけですね。とにかく笑った。感嘆しながら笑った。番組開始前に腹が減ってたけど飯を食わなくて本当に良かった。
他にも「マツケンサンバⅡ」シンフォニックバージョン、ベートーベン「第五」と「マンボNo.5」の奇妙な性交、無駄に黒い「さっちゃん」などなど、見所はたくさんあったのですが(番組的には「マツケンサンバⅡ」が目玉なのでしょう)、“永遠の小学生”を目指している僕にとっては、やはり排便のインパクトはとても巨大でした。だってうんこですよ? うんこすげーじゃん。うんこってだけで笑えるじゃん。なあ? な? おい――とにかく、人間が排便という行為を日常的に繰り返さない動物であったら、今日この奇跡は起こらなかったでしょう。僕は神に感謝しつつ、今日も若干固めのBIG BENが織り成す素晴らしい音楽に耳を傾けようと思います(意訳・うんこしたい)。