DRUNKEN HEARTED MAN

散財しました。いやあ、散財って気持ちのいいものですね。この気持ちよさを貴様らに伝えたくて、僕の心情を表現することのできるわかりやすい例えというかそーいうものを足りない頭の引き出しを引き出しまくって探してみたのですが、生憎――あいにくって、よく考えたらとんでもねえ漢字でございますですね――ニッポニアニッポンの底辺で日々光合成をするためだけに生きている僕の儚くも寂しい人生にとって「気持ちいい」と呼べるのは日々の自慰行為くらいしかなく、これじゃアタシのキモチをアンタラにわかってもらえねえ、と途方にくれておるのでございます。ああ、またやってしまった。パッとしないお天気の昼下がり、外に出るのも億劫だからインターネットでもしようかしら、とこのサイトをお開きになったレディーの方々はいきなり「自慰行為」などという見慣れない単語が目に飛び込んできて驚きになったことでしょう。「自慰ってなぁに?」っていうカマトトさんは、明日学校で男子に向かって腰を激しく前後させつつ「G・G・佐藤!」と奇声を発すれば、なんとなく本能で「自慰」という言葉の持つパワーを感じることができるでしょう。とにもかくにも、我々の人生はいつでも予測不可能、一寸先は闇と言いますように、一寸先は自慰であることも往々にあるわけでございまして、であるからして僕が昼間から二ノ宮知子の『平成よっぱらい研究所』に感化されてウィスキィなどを痛飲し意味不明の日本語散文を書きなぐっておるのも、まったくもって致し方ないことなのでございます。なぜ僕が自暴自棄気味に酒をかっくらっているかといいますと、先ほど本屋へ行って、まあそこで散財したわけですが、欲しいものを色々買ってホクホク顔で帰ってきたときに何となしにズボンの上から性器を揉んでみたところ、ジーンズのチャックが素晴らしく開花しておりまして、わたしはパンティーを誇示しながら買い物をしていたわけで、本屋の店員さんが居心地悪そうに「カバーはおつけしますか?」と聞いてきたのはそのせいだったのか、「カバーなんていらない、僕が欲しいのは君なんだ」、そう告白して彼女を抱きしめればハッピーエンドだったのに、なんだって僕はこうラブラブチャンスを掴まえるのが下手なんだろう、ていうか「あ、はい、お願いします」って答えたはずなのに本にカバーがついておらずしかも背表紙のあたりがド派手に折れ曲がってるのは何故なんだろう。