AIN'T NOTHING BUT A HOUSE PARTY

ゴビゴビゴビゴビゴビゴビゴビゴビ、と半端ない騒音で飛び起き、夢見心地のままマジ切れした僕は「ここはゴビ砂漠じゃねえ、関東平野だ、ローム層だバカヤロウ!」と叫ぼうとし、やめました。そりゃやめます。やめなきゃ変人です。僕は変態でありますけれど、変人ではない。それにここは確かに関東平野ではあるものの、関東ローム層地帯なのかどうかはわかりません。もし間違っていたら僕は笑われます。あだ名が「ローム層」になります。いずれは本名を捨て、「ローム層」と名乗らなければいけなくなります。もし道端でヤンキーに絡まれている女の子を颯爽と助け、「あの、お名前を教えてください」と尊敬の眼差しでもって訊かれたとしても、「ローム層。字だ、本名は捨てた」と答えなければいけなくなります。これでは格好がつかない。もともと格好ついてないから大丈夫ですよ、と励ましてくださる野郎どもは関東ローム層に埋めて石油の原料にするとして、とにかく今以上に格好がつかないわけですよ。だから僕は――ええと、なんだっけ、そうそう、だから僕は騒音に対してキレなかったのです。賢明。携帯に「件名:処女の奇妙な冒険」というメールが届いたのも、おそらく僕の賢明さに拠るものでしょう。一日一善。今日もいいことをした。ちなみに騒音の元はアパートの水道管工事でした。水道管工事なのに、なんでゴビ砂漠的な騒音が鳴っていたのだろう? 今年の自由研究は、これをテーマにしようか。