ものすごくなんでもない風景、されど風景

さっきキャッチボールの帰りに用水路沿いの道を自転車こぎつつ進んでいたのですけど、そんときウォークマンヌからピロウズの「HEART IS THERE」が聴こえてきて、うほっいいハートイズゼアとか思って、テンションがあがってしまい、辺りを見回してみると、犬の散歩をしている人が見えて、人と人が挨拶をして笑っているのが見えて、どこぞの爺様が若々しい格好でジョギングにいそしんでらっしゃるのが見えて、植木屋さんが木の枝を切っている様子が見えて、稲の刈りいれが終わってさっぱりした田んぼが見えて、自転車を結構なスピードで走らせているのでそれら全てがサァーっと一瞬のうちに視界から消えてなくなっていって、でも実際は消えてなくなってはいなくて、ふと空を見上げると雲がこれでもかというように細く伸びていて、伸びた雲の先っぽを確認しようとしたら日の光があたりを白く染め始めたので、僕は目を細めたのであった。もちろんその間じゅうずっとイヤホンヌからは「HEART IS THERE」がかかっていて、なんかうまく言えないのですが、「ウゥ〜〜〜〜〜〜〜ワントゥ!」と叫びだしたい気分であった。プロモーション・ビデオがまるっと作れそうでした。むしろもう一丁「ハート・イズ・ゼア」というタイトルの小説を書きたくなってきましたよ。というかあの曲から得られる力だけで、何篇かさらりと出来上がってしまいそうだ。歌詞をさっぱり読んでいないのでどういう内容の歌なのかはまるっきり知らないのですけど、それは別に気にするほどのことでもないような気がします。この曲を聴くたびに、僕は今日この目で見た、特筆すべきところが全くない風景を、思い出すことでしょう。あと自分が書いた小説も。自分マイラブ。