the pillows『the third eye』全曲感想その2

まだまだ続きます読者置いてけぼり週間。独走状態です。ピロウズのニューシングル『サード・アイ』、表題曲が素晴らしくてアゥイエでヘイヘーイなのは周知のことと思いますが、カップリング曲も良いんですよこれがまた。ピロウズの伝統みたいなもんですね。アルバムに入れるにはちょっと我が強いっていうか“濃い”楽曲たちが、シングルに収録されてます。もしくはいい意味で“薄い”曲ね。今回のカップリングは、「濃い」のと「薄い」の。わかりやすい。

「SLOW DOWN」

まず濃いほう。これはカッコイイ。何がカッコイイかっていったらギターであります。やる気のないフレーズのリフも魅力的ですが、何はともあれ、サビのバッキングですよ。あのギターの音。重い音。重くてかっこいい。オルタナ丸出しです。こういう音は久しぶりじゃないか。なんていうんですか、切れ味のいい彫刻刀を木目にそってグリグリ進ませていく感じの音色です。『RUNNERS HIGH』や『HAPPY BIVOUAC』の時期に、よく聴くことのできたギターですね。大好きであります。次のアルバムではこういう音作りもやるんでしょうか。「もう一度何かを始められそうなんだ」という「サード・アイ」の歌詞が期待を膨らませます。
もちろんこの曲の魅力はこれだけじゃありません。まず真鍋氏のギター、2コーラスめからかなり飛ばしてます。いいフレーズがバシバシと。低音のチョーキングが「アゥアゥアゥ」と、とてもエロく聴こえてしまう。ソロもいいなあ。でも間奏のところは真鍋氏っていうよりバンド全員がカッコイイですね。佐藤シンイチロウのフィル・インとか。さわおの「チャカチャカチャカチャカ」っていうミュートしてのカッティングとか。鈴木淳グリッサンド。そしてテンポが「スロウ・ダウン」。うむ、良きかな。
そういえば歌をほとんど聴いてない。

「ワカレノウタ」

だからハイハットが裏に入ってると僕はそれだけでヤラれてしまうと言ってるだろうが!(いきなりキレ) っつっても「HEART IS THERE」みたいなアゲアゲダンスナンバーではありません。落ち着いた雰囲気で、身体を軽く横に揺らせる。いい曲。ドラムスがいいなあ。過剰にならない程度のオープン・ハイハットの挿入具合が絶妙で、オカズもいい感じです。ダカダン、ダカダン、ダカダカダカダカダン、みたいな。リズミカル(当たり前ですが)。佐藤シンイチロウさんは本当に味のあるドラマーです。最低限の労力で最大限の効果を生み出す感じ。
ギターはですね、なんというか、このあいだライブで聴いた「マイ・ガール」と雰囲気が似ています。優しい音色、優しいフレーズ。僕は今度のアルバムで「マイ・ガール」がハイライトになると確信していて、おそらく「ワカレノウタ」が、こんなにいい曲なのにアルバムに収録されなかったのは「マイ・ガール」のせいだと思う。あの曲には敵わない。でも「ワカレノウタ」も本当にいい曲です。こういうのをサラっと作ってしまうから山中さわおは凄い。「千切れた愛 ヒラヒラと裏表 / 今になって よく見える」とか、いい歌詞だ。