2005年最後の日記

晦日である。
昨日実家に寄って挨拶などをしてきたのであるが、そのとき僕は「なんかラーメン食べたくなってきたな」と何の気なしに言った。冬になるとラーメンを頭から浴びたくなるときが誰にでもあるだろう。それだ。すると母が、「あら、ラーメンならあるわよ」と言った。そういえば父が出張にいったとか何とか聞いていたような気がする。いつも食べているインスタントゥ・ラーメンではなく、きちんとした生麺のラーメンヌを食すことができるかもしれない。期待に胸が高鳴った。どきんどきん、何かで抑えつけないといけないくらい鼓動が激しくなる。母は脈絡なく「今日はブラジャーしてないの」と言い放った。「髪も洗ってない」とも言い放った。「二日間」と付け加えた。いいから早くラーメンを出せ。僕がそう言うと、ひとしきり「親に向かって云々」と金切り声をあげてから渋々ラーメンを取り出した。立派な箱に入ったそれは、まぎれもない、僕が今、一番食べたかった、あの――
「おお! 味噌か!」
晦日である。