my way my love『Nothing is difficult to those who have the will』



今年聴いたアルバムの中で最も音が悪い。今年聴いたアルバムの中で最も何を歌っているのかわからない。今年買ったアルバムの中で最もタイトルが長い。今年買ったアルバムの中ではダントツでジャケがダサい。しかし、今年買って聴いたアルバムの中で、いや、ここ数年を振り返ってみても、こんなにカッコいいアルバムは他にない。それがmy way my loveの新作、『Nothing〜』である。長いから省略したけれど、これとってもいいタイトルである。流れてくる音楽からはちょっと連想できない(笑)。
ご存知でない方に説明すると、マイウェイマイラブはバンドである。変態のバンドである。変態によるバンドである。そしてもちろん変態のための――ではない。変態に限らず、音楽を愛する人すべてに聴いてほしいバンドだ。はてなダイアリーのキーワード説明文には「ぶっ壊れたマイブラ」「日本のソニックユース」と書いてあるが、少しピクっときた人もいるのではないだろうか。まあ、この説明はちょっとそのとおりすぎて元も子もないのがアレだけど、間違ってはいない。でも当然、マイウェイの全てを説明できているわけではない。奴らの全て? そんなの、誰にも説明できるはずがない。しかし「理解」はできる。音を聴けばなんとなく「こいつらヤベえ」と思うはずである。ライブやCDを体験した人ならわかってくれるのではないか。彼らは僕の脳を、何かを考えようとする機構を犯してくる。言葉は悪いが、レイプだ。レイプしてくる。音を感じることしかできない。ギターの音色そのものを破壊したようなディストーションサウンド――かと思えば繊細なアルペジオに揺らされたりもする。そこにドラムがあるから叩くのではなく、“叩くから叩く”ドラム(僕はドラムス・大脇氏のスティックをライブ後にゲットだぜしたことがあるが、たった30分で何故それほどまでというくらいにマジはんぱなくボロボロだった)。キチガイ二人を支えるようでいてしっかり自分もキチガイるベース。とにかく「ヤベー」のだ。そして忘れてはいけないのが随所に光る抜群のポップ・センス。それらの要素がかなりギリギリでせめぎあっている。かといって初期衝動のみのバンドかというと、そうでもない。緻密なアレンジからは知性が垣間見える。わかっていただけただろうか。どんなバンドかなんて説明できないことが。
前作『hypnotic suggestion:01』も全人類が聴くべき傑作だったが、僕は今作のほうが好きだ。というのも、前作は音圧が単純に物足りなかったのである。曲は素晴らしいものばかりだけど、鼓膜にガツンとこなかった。「惜しいなあ」というほかない。その点、この最新作は万全だ。再生してドカンと来た瞬間にもう僕はbe レイプedだった。ライブで感じることのできていた「my way my loveの今」がパッケージされたような具合である。全曲大好きで仕方がないのだけれど、強いて言えばM-4「THE RAINBOW SONG」が一番のお気に入りだろうか。デリシャス・レーベル(笑)時代の焼き直しと言ってしまえばそれまで。でも好きだ。ピンポン電子音、美メロ、静から轟へ移るときの快感。途中のドラム・フィルインがかっこよすぎる。完璧な楽曲。他にもライブでおなじみの曲がたくさん入っている。M-2「ootokonokoonnanoko」も超ヤベーなあ。先日の下北シェルターのライブでは、この曲に一番レイプされた。本当にどっか別世界へイかされてしまうのではないかと思ったほどだ。歪みのエフェクターを踏むタイミングがとにかく僕のツボ。「くる!」って時に「くる」ので、それだけで失禁昇天。もうね、ほんと聴くしかない。ここまで長ったらしく書いておいて申し訳ないけど、ほんとその一言。聴くしかないのですよ!(突然の丁寧語による印象付け)


http://www.youtube.com/watch?v=linlOMJRuHY&mode=related&search=
これを見てドン引きするか興奮するかであなたのマイウェイ度がわかります。ここまでメリケンを熱狂させるのは凄い。9月4日のワンマンで日本でもようやくこのくらい盛り上がりましたな。いいライブだった。