NO MUSIC NO 僕
二〇〇六年も残すところあと一週間となりまして、この一年も色々ありましたなあ、そうですなあ、光陰矢の如しですなあ、と縁側で殴りあいながら振り返る時期になりました。僕は縁側で殴りあう相手がいないので自分を殴りつつ振り返ってみます。何があったかしら。何もなかったかしら。かしらというか、何もなかった。ゼロの使い魔で絶対領域に目覚めたことくらいか。なんと無意味か。なんと無為極まる三百六十五日であったことか。まさにゼロ。ゼロのルイズ。こんなネヌオーマン(N.O.=なにもない、転じてダメ人間の意)の僕がなぜ今日も生き長らえているのかというと、それはたった一つ、音楽があったおかげであります。いつもどこでも音楽が僕のそばにいてくれた。音楽がなければ僕は何百億ものオタマジャクシをむやみに生産するだけの親ガエルになっていたところでありました。ありがとうミュージック。両生類になりかけた僕を哺乳類の座に押しとどめてくれてありがとう。そんな恩人、いや恩音に感謝の意を表しまして、ここに「僕ミュージック・アウォード2006」と題しまして、この一年で出会った素晴らしきグッド・ミュージックをご紹介させていただきます。受賞者の皆さんには僕のゆるぎない愛をたっぷりとお贈りいたします。
大賞
SCOOBIE DO 『SCOOBIE DO』
今年の前半はまさにスクービードゥーの天下でありました。『Funk-a-lismo!』というアルバムを発表し、うほうほスクービーいいねえなんて言ってたらまさかその数ヶ月後に17曲入りのフルアルバムを僕らにぶっつけてくるとは。充実しすぎていてびっくりです。内容も粗製濫造なんてことは全くなく、濃い濃いセブンの全力投球。「funk-a-lismo」という造語に関して、んなこと言われんでも音楽聴けば伝わるわい、と僕は結構しらけてるんですが、そんなヒネクレモノでも「ファンカリズモゥオオオ」と唸ってしまう。とにかくダンシング。オールナイト。ファンキーであります。このアルバムの1〜4曲目までの流れが気持ちよすぎて困ってしまいます。「ってしまう」とばかり書いてますが、ほんとにそのとおりで、考えるよりも先に身体が感じて動くんですよね。グッドなミュージックを聴くとそうなる。ゆえにスクービーはグッドなミュージック。
優秀賞
The New Pornographers 『Mass Romantic』
今年に出たアルバムじゃありませんが、僕が聴いたのは今年です。というかニューポルノグラファーズに出会ったのも今年です。とにかくよろしい。とてもよろしい。「これ!」というメロディーがあるわけでなく、「これ!」というギターのフレーズがあるわけでもないのに、とにかくポップです。細かいアイデアが練りに練りに練られまくって、ねっておいしいねるねるねるね。この美味しさは、ポップ・ミュージックのニュー・スタンダードと言ってしまってもいいのではないでしょうか。それくらい彼らのアルバムを聴いてびびりました。いつもなら「変態」の一言で済ます音楽性なんですけれど、ニューポルノグラファーズの音楽には変態以上の何かがあります。バンド名は変態の一言ですが。女性の声でコーラスされるだけでも僕は濡れてしまう(敏感です)。M-1「MASS ROMANTIC」、M-6「LETTER FROM AN OCCUPANT」、M-7「TO WILD HOMES」が特にお気に入り。
良かったらどうぞ。紹介したアルバムの曲ではありませんけど、超ポップ。大魔導師ポップ。
よく聴いたで賞
列挙。左上から見ていきましょう。ROGER JOSEPH MANNING JR.『SOLID STATE WARRIOR』。ジェリーフィッシュの中の人のソロ作ですが、鬼のように聴いていました。11月に出たTV EYESのアルバムも(これにもロジャーさんがいらっしゃる)聴きまくり。勢いで「ジェリーフィッシュよりいいんじゃねーの」とか思ってしまうほど。後でジェリーフィッシュ聴きなおして反省したりする。the pillows『MY FOOT』。ピロウズ健在を僕に知らしめた快作。完成度高し! です。「THE THIRD EYE」「MY FOOT」はピロウズの新しいスタンダード。my way my love『Nothing is difficult to those who have the will』。現在のマイウェイがズゴンと収まった強力な一枚。これも狂ったように聴いてました。「THE RAINBOW SONG」は今年ベストの曲と言ってもいいかも。福山芳樹『Jungle Lady』。今年の僕を語るうえで福山ブームは忘れてはいけません。『ALLEGORY』というアルバムもよく聴きましたが、こっちのほうが好きです。正統派ロック・ミュージック。「RED DATA FRIENDS」大好きです。THE ROCKET SUMMER『Hello , good friend』。持ち前のアンテナの低さが災いして、ロケットサマーに出会うのが遅くなってしまいましたが、遅くたってかまいやしない。彼に出会えたことが幸せ。『calender days』も素敵なアルバム。突き抜ける青空ポップ。hellogoodbye『Zombies! Aliens! Vampires! Dinosaurs!』。前作の素晴らしいデキを受けてのフルアルバム。とてもグッド。意味不明にテンションの高いタイトルも良し。「Here (in your arms)」「All time lows」は聴きまくりました。Holiday with maggie『SKYLINE DRIVE』。今年出たアルバムではないですが、最近国内盤をゲット! ということで。たった2曲のボーナストラックのために。しかしホリマギのためならば僕は財布の紐を食いちぎる。2006年、彼らが活動していなかったかといえばそんなことは全然なく、『Welcome to hope』というアルバムを僕に届けてくれました。少し男っぽくなった感はありつつも、彼らの専売特許キラキラギターは健在です。大好きとしか言いようがありません。聴きたおしました。
ベスト・ライブ
これはもう、2006年9月4日に下北沢SHELTERで行われたmy way my loveのワンマンライブです。スクービーの十周年記念ライブも捨てがたいのですが、僕への「ズギャーン」感でマイウェイに軍配。部屋の中でCDを聴いているだけでは絶対に得られない、まさに「ライブ」を見せていただきました。一生彼らについていくと決めた夜でありました。下北沢251のライブではちょっとガッカリしてしまいましたが(なんかネットの評判はいいらしいですね。えー?)、テンションに大きく左右されるバンドであると思うので、僕のマイウェイマイラブ愛は揺るぎません。これからもポップにファズってください。
例年に比べると、今年はかなりライブに行く回数が減ったのですが、逆に印象深いライブが増えたような気がします。四月のピロウズ、六月のスクービー、七月のシルヴァー・サン(新作がちょっと残念でした)、九月のマイウェイ。やっぱりライブはいいもんですね。来年もちょくちょく行こうと思います。ファラー!
総括
自分で振り返ってみて、浮かび上がってくるのは「ポップ」というキーワード。アホみたいにポップなものをアホみたいに聴いた一年でした(僕はmy way my loveをポップ・バンドだと言い張ります)。このポップ・モードはまだまだ終わりそうにありません。来年はどんなバンドが、そして音楽が僕を待っているのか。わくわくしますね。