Farrah『CUT OUT AND KEEP』


Cut Out And Keep


雨が降ったりやんだり晴れたり、地球ってほんと毎日が楽しいですね。色とりどりどりとりどりです。ファラーの新譜『CUT OUT AND KEEP』も、ジャケット・内容ともども色とりどりどりとりどりで、とても幸せな気分になれます。生まれついての不治の病である金欠病を患っているせいでなかなか買えなかったのですが、先日ようやく購入いたしました。まだまだ全然聴きこんでないのですけれど、先日書いた「僕ミュージック・アウォード2006」の「よく聴いたで賞」に追加で入れちゃっていいと思うくらい、とっても良いポップ・アルバムです。もう既に超お気に入り。『moustache』『me too』と、良盤をバンバンと出してきたファラー、次の作品に対する周りの期待は大きかったはずで、かなりのプレッシャーであったでしょうに、そんなん関係なかったみたいですね。「Terry」「I wanna be your boy friend」「tongue tied」のような、一度耳にしただけで心と身体が踊りだしてしまうキラーチューンはないかもしれませんが、アルバムの完成度は過去作に決して引けをとりません。まだはっきりしたことは言えませんけどね。
パワーポップ教の信者である僕はM-1「DUMB DUMB DITTY」を再生した直後に聴こえるハンド・クラップでもうヤられちゃいました。ポップの魔法がかかりすぎです。んで間髪入れずM-2「DO YOU EVER THINK OF ME」。もう僕はメロメロだ。さっき「キラーチューンはないかも」とか書きましたけど、普通にあった(笑)。「僕のことをまだ考えたりするかい?」という甘酸っぱい青春の香り漂うフレーズがたまらぬ。メロディー、コーラス、ディストーション・ギターとクリーン・ギターの絶妙なバランス、控えめに、でもちゃんと聴こえるアコースティック・ギター、胸がキュンキュンなCメロ含めた曲構成。文句のつけようがナッシング。ドラムの音の感じも非常に僕好み。ちょうどいい軽さ。ドラムに関してはこの曲に限らず、全部いいんですけどね。僕はファラーのドラマーのことが大好きです。主張しすぎずに軽やかで手数が多めなところ。1stの「Terry」なんかドラムだけでメシを三杯食える。M-3「AWKWARD SITUATION」の、ビートルズTomorrow never knows」にインスパイアされたっぽいドラムもツボ。M-4「NO REASON WHY」のリズム、歌いだしのハモリ、ホーン・アレンジもいいし――ってこの調子で書いてったら全曲レビューになってしまう(笑)。
要はとてもいいアルバムなのだ、ということです。過去2作は序盤にガツンと行きすぎていて、後半がちょっと目立たず、尻すぼみになってしまっている印象があるのですけれど(後半がダメというわけでなく、1曲目・2曲目が良すぎる)、今回はそんなことはなし。最後までグインと聴き込ませてくれます。疾走パワーポップ・チューンあり、オルタナな匂い漂うロック・ナンバーあり、アコギのアルペジオが美しい静かな曲もあり、とにかく冒頭にも書いたとおり、色とりどりの作品。ますます2月の来日ライブが楽しみになってきましたよ。超歌っちゃいそう。僕としたことが超合唱かましそう。M-6「FEAR OF FLYING」なんて泣きながら歌いそう。超いい曲。ほんと全国民聴いてください。