さ、いい日

今朝はアルバイトをしていたのですが、皆さんご存知のとおり外ではザーザー雨が降っていまして、それも日曜日でお休みなものだから見事なまでにお客さんが来ませんでした。半裸で検品作業をしていても「マア、お茶目なのね。あとはペニスね」なんてマダムが笑いかけてきそうなくらい牧歌的な暇さ。全裸で検品作業をしていてもまあ、「アラ、トゥーマッチモンキービジネス」てな感じで許されるかもしれないのではないかというくらいのんびりした時間でありました。実際はもちろん、僕は清純と卵子が受精して生まれたほどのクリーン・ボーイですから、無闇に肌を晒したりはしていないのですけれど、とにもかくにもやることがなく、バイトのお仲間も眠気がピークに達していてお喋りもままならない。ボケーッと思索にふけるしかないのであります。
「月曜日はチチモンデー」
このフレーズが突然頭に浮かんだのはそんな時でした。はじめ僕は戸惑いました。狂ったかと。ちょうちょ、ちょうちょ、ヒーラヒラかと。こんな意味不明――というより意味が無さすぎる日本語、仮にも20を超えている男子が思いつくべきものではない。言葉を喋り始めた幼子が口走るならまだ「アラ可愛い」で済まされるかもしれません(余談ですが、もし僕に子供ができて、こんな言葉を喋りだしたら速攻で学習院初等科に入れます)。しかし僕は幼子ではない。毛がいろんなところから生えているのです。だからこんなことを言ってはいけない。つまりこれは僕の言葉ではない。そう結論づけました。次なる疑問は、「では誰の言葉なのか」で、僕の記憶の奥底からふとまろび出てきたものであれば(でなければいけない)、自身の誇りにかけて思い出す必要があります。僕は考えました。月曜日はチチモンデー、チチモンデー、デーモン父、と。その時店内に学生服を着た中学生が入ってきて、はたと思い至ったのです。これは僕が中学の時に隣のクラスで流行っていた英語早覚え法だ、と。モンデー、ローマ字にするとMONDEー、転じてMonday。そういえば隣のクラスの男どもがゲラゲラ笑いながらチチモンデーチチモンデーと言っていたような気がする。
喉につっかえたものが取れた僕は、清々しい気分で「月曜日はチチモンデー」と、若干のメロディをつけて歌ってみました。外は雨ながら、なんか心が晴れやかになっていきます。ふふ。げつようびはチーチモンデー、かよーびはか、かかかか、よ、
火曜日は何だ?
再び餅を喉に詰まらせた僕は窒息死しないために脳味噌をフル回転させて記憶を辿りました。しかし思い出せない。普通なら月曜日があるなら火曜日も芋づる式に飛び出してよいものなのに。か、かかか、か、か、頭の中でどもりながら必死。か、かよ、かよう、びびび、びび無理。覚えてない。むしろ知らないんじゃねーのというくらいさっぱり続きません。僕は諦めました。が、このままでは一生、餅を喉に停滞させたまま生きていくことになる。中学時代の友人なんて一人もいないので、誰かに聞くこともできない。かくなるうえは、自分で続きを作ってしまえばいいのだ。僕は思いました。それがさっき。ここに至るまで長かったですね。
来年中学生になる第二次性徴中の女子に捧げます。あなたの英語学習の、ささやかな助けになれば幸いです。

月曜日はチチモンデー(Monday)
火曜日はチューしてー(Tuesday)
水曜日は上脱いでー(Wednesday)
木曜日はさあするで(Thursday)
激写されたよフライデー(Friday)
そしたら彼女は去ったでー(Saturday)
サンデーくらい知っとけや(Sunday)

好きなメロディーで歌ってください。ああ第二次性徴の変化に悩む女子よ。このときばかりはマリアさまも見ていない。「さあするで」って何を? と思ったならば、ああ第二次性徴でブラがきつい女子よ、間違ってもお父さんに「乳もんでチューして脱いですることって何?」と訊いてはいけない。君もあと少しすればわかるはずだ。ああ第二次性徴で赤飯を食べる女子よ、「ミカヂリさんのおかげで英語の小テストで満点取れましたゆえになんでもしますはいなんでも」なんて言ってはいけない。君にはもっとふさわしい男がいつか現れる。え、いつかのことなんて知らないって? 待つんだ、早まってはいけない。え、ミカヂリさんがいいのって? あ、そうそうそりゃしょうがないねうんうんしょうがないところで君は毛は生えているのかい生えてないのかいそうそうそれでよしそれがよし。