FW:残暑

こう暑が夏いと、場を涼しくするための寒いギャグを言う気も起こらない。いや、そもそも僕が蒔き散らす笑いの種は全てが全て例外なく開花するのであり、つまり面白いのであり、抱腹絶倒必至なのである。場が涼しくなるどころか暖まってしまう。ただでさえ汗がデシリットル級の勢いで吹き出ているというのに、僕が指揮する笑いのオーケストラによって、バシリットル級に出てしまう。これはいけない。摂氏が怒り出してしまう。だから僕はなるだけ黙っている。喋ると笑いが湧き上がってしまい、暑くてやるせなくなってしまうからだ。さきほどもご飯を食べようとして、手からまろび落ちそうになった箸をハッシと掴んだとき、ふと抱腹Zのギャグを思いついてしまった。しかし声に出すのは我慢した。当然である。僕が早弾きする笑いのイングウェイ・マルムスティーンによって、気温があがり、汗がゴシリットル流れるだけでなく、流氷の体積が少なくなってしまうのだ。僕がギャグを披露するか否かで地球の環境すら変化する。僕一人の地球ではない。正直、皆さんの笑顔は見たい。しかし、北極グマの悲しむ顔は見たくない。察していただきたい。僕も辛いのだ。箸をハッシと掴んだとき、僕が思いついたギャグ。どんなギャグなのかって? 伝えたい。でも伝えてはいけない。ああ! なぜ神は、僕を面白い人間にした。何かの罰なのか。触れるもの全てが金に変わってしまう王様の気持ちがよくわかる。僕は貴方の冷たい視線に貫かれたい。しかし箸をハッシと掴んだときに思いついたギャグは必ず貴方を笑わせてしまう。僕が何をしたというのですか! 神よ。そういえばさっき箸を落としそうになった原因は、箸の端のほうを持っていたからだった。おお! またも僕の中のジミ・ヘンドリクスが笑いのパープルヘイズをフォクシー・レディする。止まらない。誰か、誰か。誰か僕を助けてください。