勝ったな

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 特装版 [DVD]


DVDの到着を知らせるドアチャイムが鳴り響く。部屋の片付けをしている最中なのにも関わらず掃除機を放り投げ、掃除機と壁とが接触する木造建築特有の煮え切らない音に少しだけ驚き、しかしひるまず駆け出し、ペリカン便のおじ様に「暑かったでしょう、おつかれさまです」などとのたまい、言った直後そういや別に気温が高いわけでもないなと思い、暑いのはこのハアトだ、心だ、心の、あサインですねすいませんはいおつかれさまでした心の臓だ。心臓が熱いのだ。この日を待っていたのだ。

エヴァンゲリオン新劇場版・序を見た。ヱだかヲだか知らないが見た。

今さら何を書いたって「オックレテルゥー」の一言で済まされてしまうし、自分の感じたことを日本語にするのは(今日の場合は)ちくと難しいので僕は黙っておく。ただスッポルゲヒンガーソワカ面白かった(すごうく面白かったの意)。Amazonでついクリックしたときは「エヴァのDVD買うとかアホか俺wwww」と自嘲すらしたものだが今となっては当時の自分をスッポルゲヒンガーダイダラボッチ見下せる(すごうく見下せるの意)。こんなものレンタルで済ませてたまるか。所有だ。所有するほかない。所有しなきゃ始まらない。

コンテというのか構図というのか門外漢の僕にはよくわからないのだけれど、画面構成考えた人が極まりすぎている。まるで僕の嗜好を知り尽くしているかのようだ。全部庵野さんがやっているなら変態すぎるけどさすがに違うだろう。だってそんな変態この世に存在していいはずがない。スッポルゲヒンガーバランガバランガ級かっこいい絵が畳みに畳みに畳みかけてくる。落ち着く暇がない。動画ではなく静止画でどんぶり飯が何杯も食えてしまうくらいだ。新作カットも素晴らしくキマっていた。興奮だ。画面をみてとにかく興奮した。動悸を抑えようと三回ほど煙草に火をつけてみたのだが、その全てが大して吸われることなく根元まで燃え尽きたことからも、僕の舞い上がりっぷりがうかがえる。

ああ、前言撤回してこの思いを皆さんにぶっかけたい。

水晶みたいな使徒が――名前覚えてない――……ああ、やめだ、やめだ。この映画を見た人にとっては「今さら」であり、見てない人は「今から」なのだ。見るしかない。見る以外の選択肢はないのだ。そして僕はまたDVDの再生ボタンを押す。こうするしかないんだ。