Heroes And Villains

散髪した。散髪というより断髪した。パッと見の年齢が10くらい下がった。ヒールックスライクローティーンな勢いである。あまりの若返りように、断髪を繰り返すことで自分は不老不死の身体を手に入れられるのではないかと錯覚するくらいだ。錯覚っつーか確実に若返っている。なんかお肌も水を弾こうとして躍起になってるような気がするし。さっそくこのお手軽不老不死メソッドをフリーザ様に教えて差し上げようと思ったが、彼には髪の毛がないので無駄なのであった。彼があそこまで執拗にドラゴンボールを求めていた理由がわかったような気がする。フリーザ様は不老不死を得ようとしていたのではなく、髪の毛が欲しかったのだ。「なんでぼくには髪の毛がないの?」と疑問をぶつけるたび、逆切れして一升瓶を投げつけてくるコルド大王。「うっせえよ、さっさと酒と金と女持ってこぉぉい!」と怒鳴るコルド大王。フリーザ様は涙ながらにして酒屋を襲撃した。コルド大王の要求がエスカレートしていくに従って、フリーザ様は酒屋だけでなく他の惑星の酒屋までも襲撃するようになり、コルド大王が「花火が、見たい」とウツロな目をして言うのでつい惑星をふっ飛ばしちゃったりして、そんなことを繰り返していくうち、いつしか彼自身、何が目的だったのかを見失ってしまった。「アルコール度数たったの5……。ゴミめ」と呟く彼の顔からは感情というものが読み取れない。なんと寂しい人生であろうか。ああ、フリーザ様。
――なんの話をしてたのでしたっけ、もう歳なのかな、忘れてしまった。