ZIPPO

定期的にZIPPO欲が高まるのです。僕は煙草の火をつけるためにZIPPOを使っていて、それは別に格好をつけるためとかそういう意図はあまりなく、純粋に「火をつけたあとのオイルの匂いがいい」という若干危ない理由からであります。「ZIPPOで点火した煙草は、100円ライターで点火したそれよりも美味い」という、これ以上なく主観的な俺理論も持ち合わせています。とどのつまり、僕はZIPPOが大好きなんですよね。「無職の分際でZIPPOなんぞ使うなゴミが」などと読者の皆様は僕のことを蔑むかもしれませんが、もっと蔑んでください、いやそうではなく、男は蔑むな、僕を蔑んでよいのは女性だけ、いやいやいやそうでもなく、とにかくZIPPOというと「高い」というイメージがついてまわるかもしれません。ZIPPOコレクターの存在がそのような誤ったイメージを増長させているのだと思います。しかしそれは先入観であって、実際、一番安いZIPPOは1500円くらいで買えてしまうのです。僕もそれを使ってます。「安物を使って何が嬉しいんだゴミが」などと読者の皆様は僕のことをハイヒールで踏みつつ罵倒するかもしれませんが、アッそこイイもっと踏んで、いやそうではなく、安物といえどZIPPOZIPPO、きちんと永久保証も受けられます。僕のような貧乏人にも門戸は開かれているわけです。
で、です。僕の中で定期的に高まるZIPPO欲というのは、その「安物ZIPPO」の年代物への物欲なのですよ。お持ちの方はご存知だと思うのですが、ZIPPOの底面には「01」など色々な文字が彫ってあり、これすなわち製造年月を示すものなのです。前記の「01」なら2001年、とこれはわかりやすいのですが、2000年以前になると複雑化してきます。まあそれはどうでもよくて、とにかくZIPPOには製造年月が明記されていて、それにより、例えば「誕生月に製造されたZIPPO」なんてものを探すことも可能になるわけです。ああ、燃えるじゃない。欲しくなるじゃない。自分と同い年のZIPPOだなんて、もう目の中に入れても痛くないわけじゃない。
そんな感じでたま〜にですが激烈にZIPPOが欲しくなるんですよね。僕が常々狙っているのは1969年に製造された無地のZIPPO(200番、ってやつですね)。なぜ'69年かというと、そりゃああなた、ロックが好きならわかるでしょうよ、いや「69」だから「ロック」ってわけじゃなくてね、なんつーか色々あるでしょ69年て、色々ってのはロック的事件ね、ビートルズ解散やらオルタモントの悲劇やらウッドストックやら。そんな年に製造されたZIPPOで煙草を吸う。ロマンじゃない。トランク一つで飛行したくなるじゃないインザスカイ。
なんか冒頭で「別に格好をつけるためとかそういう意図はなく」と書いたことに全く説得力が生まれない文章が出来上がりました。長々とごめんなさい。ちなみに69年の200番の相場は、エクセレントで7000〜8000円くらい。買えなくもない値段なのがこれまた物欲を刺激しますねえ。欲しい。誰かプレゼントしてください。