ドラえもん

リニューアル後、これが初視聴であったりする藤子不二雄ヲタがここに一人。むう。


歳を取るとしんみりしちゃっていけませんね。タンポポのお話、原作でも好きなんですよ。余計なことを考えず普通に鑑賞できたということは、僕にとって、リニューアルはそれなりに成功だったと言えましょう。もう至るところで語りつくされているでしょうから、普段は長文野郎な僕も今日は控えめに、少しだけ気づいたところ。まず良かったのは、「ヒゲ」ですね。ドラえもんのヒゲが青部分にまで飛び出している。これだけでキャラクターデザインは成功していると言ってよいでしょう。「何言ってるのこの人。ヒゲ部員?」って笑われそうですけど、初期の原作漫画が好きな方は同意してくださると思う。あのヒゲの飛び出かたは重要です。前までのドラえもんの顔面っていうのは、ヒゲが単なる記号に過ぎず、なんというかシステマティックにまとまりすぎていて、「人形的」というか、生命を感じられませんでした。しかしヒゲが飛び出て、顔面周辺に「遊び」というか、曖昧な部分があらわれることにより、ドラえもんの人間味がより分かりやすい形で提示されるようになった。つか原作に近づいた、それだけで僕は評価できる。唇周辺の「にょいん具合」も、原作的かしら。ドラえもん以外のキャラデザにも文句はないです。いいんじゃないですか。あとは「白け」のムードが出せるようになれば……。無理な注文でしょうか。
以前僕は「スタッフはまず原作を読め、そうすればちゃんとしたのを作れるはずなんだ」と書きましたけれど、新スタッフの方々は、僕なんぞ及びもつかないほど、原作を愛し、そして読み込みまくってますね。当たり前ですけど。セリフ部分でも、とことん馬鹿で強欲なのび太、そして基本的にのび太へたいしては容赦ないドラえもん、その基本部分がきちんと押さえられているような気がしました。今日観ただけで判断するのは早計でしょうけど、片鱗は確かに感じられた。「まあわかんないだろうけど」あたりに漂う、ドラえもんナチュラルな性格の悪さ。仲の良い人間に接するときにだけポロっと出てくる性格の悪さ。これは大切。『ドラえもん』において、一番重視すべきかもしれないポイントです。
声ですけど、やっぱりドラえもんは「むう」という感じです。いいんだけど、なんかねえ。「うふふふ〜」とか「ぼくドラえもんデス」とか「しょうがないなあのび太くんはぁ〜」とかその他偽善的で無駄に母性溢れるセリフを口走らない大山のぶ代が1.5倍くらいの速度でハキハキ喋れば、限りなく僕の理想に近いドラえもんができあがるのですけれど。そんなの無理だし。だから太田光にしておけばよかったのだ。なんでドラえもんの声優に女性を選ぶんだろう? そしてここまでの文章のどこが「控えめ」なのだろう?