さらばよ、さらば

さてたまには更新するかあと焼き鳥丼を食いつつ思って、この「冷蔵庫のない生活」を開いたのでありますが、そこに踊りましますは「2006 12 31」の日付であり、すわ年明けてから更新してないとびっくりして僕も踊りだしそうになりました。明けましておめでとうございます。しかしながら皆様、新年の野郎を一人特別扱いするのはいかがなものでしょうか。2007年になった途端、猫も杓子もおめでとうおめでとうとナトゥ踊るオメデトウ状態、そんな様子を見て2006年はどう思うでしょうか。悲しくはならないでしょうか。春夏秋冬、汗水たらして寒風しのいでバトンを渡そうと頑張り、そして見事呼吸を一秒も止めずにバトンをタッチした2006年が僕は好きだ。僕らを2007年に連れて行くためだけにその一生を捧げた2006年。一緒にお風呂に入ったとき、その背中が思ったより大きくてびっくりした。10キログラムの新米が重くて困っているときも何も言わず持っていってくれた。米びつにビタミン米も混ぜてくれた。ビタミンが豊富でびっくりした。友達の女の子を誤って妊娠させてしまったとき、一言も怒らず一緒に謝ってくれた。誠意って何かねって言われてびっくりした。ああ、そんな2006年。僕らが愛した2006年。彼がつつがなく365日を遂行し終えたことに対するねぎらいの言葉をかけてあげる人はいないのでしょうか。――いやしない。誰もが猪だ。新しモノ好きの人たちが2007年にチョロまかされバカ騒ぎをしている。猪突猛進ならぬ、猪突盲信だ。うまいこと言ってびっくりした。でも僕は、せめて僕だけは、もう会うことはできないほど遠くへ行ってしまった2006年のことを想う。時に暖かく、時に暑く、時に厳しく冷え、無駄に涙もろいところもあった。目を閉じれば君の太い眉がまぶたに映し出される。ああ、おめでとう、1年もの間、2006年であり続けた君よ。これからは自由だ。1192年にだってなれる。1919年にだってなれる。23509年にだってなれる。これから羽ばたく君に、おめでとう。


ビッグコミックスピリッツの新連載、柏木ハルコ先生の漫画が面白くなりそうな2007年でございます。