ドラえもん 第12巻

mikadiri2003-11-09

僕はドラえもん初期原理主義で、まだ「ドラえもん」という作品が色々な制圧を受けずにいたころが大好きなのです。制圧というのは言い過ぎかもしれませんが、PTA的というか、清く正しい漫画というか、とにかく後期のドラえもんは当たり障りの無い作品ばかりで面白みにかけていてあまり読みません。F氏の暴走っぷりが見れないドラえもんなんて、人の死なないゴルゴ13みたいなもんですよ。
で、この12巻。別にコレが最高ってわけじゃないんですが、「ドラえもん」という作品、及びキャラクター達に慣れてきたF氏が気持ちよくペンを動かしていて良作ばかりなのです。そしてF氏が気持ちよくペンを動かすということは迷作でもあるということなので、ちょっとその「迷いっぷり」をご紹介したいなあと。
絵は残念ながらお見せ出来ないのでセリフを抜粋します。まあF氏の最大の魅力はネームであると僕は思っていますので、それもアリかと。

ドラ「いちどミサイルにねらわれると、ぜったいにげられないんだ。」
のび「すごうい」「ぼくにも一発かして」
ドラ「なんに使うの?」
のび「だれでもいいからうってみたい。」

『ミサイルが追ってくる』より。のび太がS級の危険人物であることをよく表わす一節。「なんに使うの?」と既にミサイルを貸したあとに聞くドラえもんはうっかりさんすぎる。「ドラえもんのミスでのび太が暴走」というのはドラえもんテンプレの一つ。そしてそのテンプレを使われた話は迷作が多い。

のび「しずちゃんがぼくのことすきすきっていいそうなよかんがする」
ドラ「それはちょっとありそうもない」

『よかん虫』より。笑顔でぶった切るドラえもん。「予感が現実になる」秘密道具を自分で貸しておいてこの言い様はないでしょう。ネット上では語りつくされてる「毒舌ドラえもん」ですが、何度見ても面白いですなあ。

のび「ね〜え、ドラえもん。正義のみかたを出してくれ。」
ドラ「アホか。」

『正義のみかたセルフ仮面』より。自分が興味の無いことにはとことん無関心なドラえもん。ヒーローもののテレビ番組を見ているのび太の横で「ある意味では幸せな人だ。」と本を読みながらバッサリ。普通に、ヒドイ。

ドラ「きみ、れいせいにおちつきなさい。」

『ゆうれい城へひっこし』より。この話、個人的ドラえもんベスト5に入るほど好きなんですが、当然名シーン迷シーンどちらも多し。このドラえもんのセリフ、どこが面白いんだと言われると困るんだけど、なんか笑ってしまう。

のび「さっきのゆうれい……あれ本物だとおもう!?」
ドラ「どういうこと!?」
のび「まんがなんかだとさ、たいていニセ物なんだよ。(以下略)」
ドラ「そうかもしれない。ちがうかもしれない。どっちにしてもこわいことにはかわりない。」
のび「そういやそうだな。」

同じく『ゆうれい城へひっこし』より。会話のテンポが限りなく好きだ。ドラえもんの「そうかも〜」のセリフ、もはや芸術的ですよ。言葉のリズムとか。それを聞いたのび太があっさり納得するあたりもテンポが軽快で面白い。ドラとのび太の掛け合い漫才はこれ以外にも笑えるのが多くて好きですね。


やばい、また長くなった。どうもドラえもんピロウズのことになると止まらなくなってしまうようで、すいません。ホントはスキャナで取り込んで画像をアップしたいんですけどね。のび太の表情の細かい動きとか、文章だけでは伝わらない部分もあるので。まあなんていうか、買え。