みず谷なおき『Hello! あんくる』

mikadiri2003-12-10

ブコメを書かせたら右に出るものはいない、まさにコメディの王みず谷なおきの遺作となってしまった『Hello!あんくる』。キャプテンコミックスのほうは持っていたんですが、ずっと続きが気になっていて、昨日古本屋で発見するなり即買いしました。先生が亡くなったあとに発売された総集編です。
まさにみず谷節炸裂といったところのホーム・コメディで、のほほんと笑いを取ったかと思えば、いつの間にかシリアスな三角関係が進行していたりして、本当に続きが読みたくなる漫画。しかしこの漫画が完結することはもうないんですよね。一番盛り上がったところで(最終回の一回前)終了。ああ。


ここをお読みの皆様の中に、みず谷なおき先生をご存知の方っていらっしゃるんでしょうかね。僕は週刊少年サンデーの名作を漁ってた時期に『人類ネコ科』に出会ったのが彼を知るきっかけだったのですが、そんなのは稀なケースで、今普通に漫画を読んでる人はまず遭遇しない漫画家でしょうね。
冒頭にも書きましたが、とにかくコメディーを書くのが上手い人です。ギャグ漫画ではなく、コメディーね。本当に、右に出る人はいないと思います。反論はいろいろあると思いますが(笑)、みず谷ファンの人は同意してくれるはず。
この人は漫画が本当に好きだったんだなあ。彼の作品を読んでると、そんな感想を抱きます。うまく説明することが出来ないんですが、表現が「漫画的」なんですよ。ノリっていうか、雰囲気っていうか。登場人物が「漫画のキャラ」であることを自覚しているような。「キャラが動いてる」っていうんでしょうか。それでいて単にノリまかせで描いてしまっているわけではなく、無駄のないセリフ運びでしっかりとストーリーも進行させている。難しいことですよ。それを難なくやっている(ように見える)のが凄い。漫画が好きじゃないと出来ないですよ。彼は「職業としての漫画家」というより、「描きたいから描く」タイプの漫画家だったんじゃないかな、と僕は思っています。




うーん、駄目だ。みず谷なおき先生のことになると、いろんな思いが交錯してしまって言葉になりません。『Hello!あんくる』の最後のページに小さく「未完」とか書かれてしまうと、ほんとやりきれないですよ。本当に、死ぬのが早すぎた。神様の馬鹿野郎、もっと他に殺すべき奴がいるだろ、なんて不謹慎な八つ当たりをしてしまうほど、彼の死は残念でした。冷静に彼の作品を読み返すことができるようになるまで結構時間かかりましたねえ。1999年ですから、高三の時でしょうか。もうそろそろ、四回忌。ちなみに一番好きなみず谷作品は『ブラッディ・エンジェルズ』。