Scoobie Do 『Beautiful Days』

mikadiri2004-07-22

“ファンキー・メロウ・フェロウ”スクービードゥーの、およそ一年半ぶり4枚目のアルバム。僕はこのサイトで何回か彼らのことを話題にしていて、そのたびに絶賛してたと思いますが、今日もそれです。ええ、名盤ですよこりゃまったく。
これまではメンバー4人によるバンド・サウンドを前面に押し出してファンク獣道を突き進んできたスクービーですが、『Beautiful Days』では今まで以上にホーン・セクションを大胆に取り入れ、他にもキーボード、パーカッション、弦楽器、女性コーラスといった様々なゲスト・ミュージシャンを迎えるなど、より普遍的なポップ・ミュージックを構築するためのアプローチをしかけてきました。それは成功したと言って良いでしょう。音の彩りがこれまでとは段違いです。
その成果が顕著に聴きとれるのが、M-2「ラストナンバー」。これはシングルカットされていた曲で、そのバージョンではもろスクービー節なバンド・サウンドでした。アルバムバージョンではキーボードが大活躍しており、なんというか、クール。特にAメロにおけるピアノの伴奏は、これをクールと呼ばずしてなんと呼ぶ、と豪語したくなるくらいカッコイイ。「アルバム・バージョン」って、スクービーに限ったことではないですけど、シングルを聴きなれた人間にとってはなんとなく馴染めないイメージがありませんか? 僕は結構「下手にいじんなよ」とか思っちゃうタイプなんですけど、この「ラストナンバー〜Beautiful Dawn〜バージョン」においてはそんなことは微塵も思いませんでした。曲が要求している音を、奇をてらわず素直に加えた感じで。スクービーがミュージシャンとして新しい扉を開けた証となりえる曲です。
M-4「名もない朝」ではスカのリズムに挑戦したり、M-7「美しい日」におけるボッサ的な落ち着いた雰囲気など、確実に一皮向けているスクービードゥーを、このアルバムでは堪能できます。もちろんM-4「パレード」やM-12「茜色が燃えるとき」(名曲!)といった、スクービードゥー丸出しな力強いバンド・サウンドも健在。いやはや、ほんとバランスの取れた名盤です。
しかしだ、しかし。絶賛し続けて終わりたいのは僕も山々。しかし僕はあえてちょいと否定的な感想を書き記したいと思います。今作において、確かにスクービーは音楽的に成長した。ポップ・ミュージック・アルバムとして文句のつけようのない完成度。聴いていてとても気持ちいい。それはとても良いことのように思えます。しかしだ、聴き終えたときに僕は「あれ? 終わったの?」と思ってしまったんですよ。つまり“聴き流してしまっていた”のです。いい曲揃いなアルバムのはずなのに、いや、だからこそというべきですか、「環境音楽化」してしまっていたんですね。それが悪いことかどうかは僕には判断できません。本来ポップ・ミュージックというものは、あまり深いことを考えずに体を揺らして聴くものでしょうし。ただ彼らのセカンドアルバム『Beach Party』の持つ、聴き手の心を鷲づかみにしてぶんぶん振り回すような力は、このアルバムにはあまり無いように感じました。
ゲストミュージシャンを迎え入れ、ポップ・ミュージックとして進化すればするほど、スクービードゥーという「バンド」の魅力が相対的に薄れてしまう――まあなんとも皮肉なことです。でも『Beach Party』のような音はインディーズだったあの頃にしか出せないものだろうし、それを期待してもしょうがない。彼らが一作ごとに成長しているのは確かなので、いつか『Beach Party』を超えるような、「スクービードゥーとしての」傑作を作ってくれるでしょう。僕はそう信じてます。


しかし今回の感想はいつにもまして抽象的だなあ。わかりにくくてごめんなさい。