ユーアーヒューマンだっ……!

「お前に足りないものは沢山ある。まず、金。そして職。つまり社会的なステータスが足りてない。加えて、男としての魅力はもちろん、ファッションセンスや良質の顔面もない。いわば人間的に足りてない。それだけじゃないぞ、プレステ2のコントローラーだって一個しかないし、カーテンだって半分しかない。ないない尽くしだ。そんなことで、他人に愛してもらえると思うか! 人の愛を、受け止めることができると思うか! そんな包容力のある人間になれると思うか! 否! 全くもって否!」


と、枕元に積み上げられた本たちやテーブルに積み上げられた本たちに激しく糾弾されたので、僕は包容力のある人間を目指して棚を買うことにしました。あいつらを全部受けて止めてやれるくらい、でっかい棚を。そうすりゃ、誰かしら僕のことを愛してくれるでしょう?(註・筆者は疲れています)実を言うと、引越ししてから棚の一つも買わずに、その辺にモノを積み重ねているばっかりで、さすがにそろそろまずいだろって説教くらいまして、バイト先の先輩に案内してもらって国道沿いの大型家具屋に行ったのです。いやあ、まあ、凄いですねえ。いろいろある。家具屋童貞の僕には(註・筆者は様々な方面で童貞です)オドロキの連続でしたよ。人間は考える葦ではなく収納する葦だ、と教科書を書き換えたくなった。家具屋も進化したものです。あ、家具屋とはいっても大塚家具のような高級感溢れるモンじゃないですよ。もうちょっと庶民的なところ。福沢諭吉を一人でいいから女衒に提供すれば、それなりの家具が貰えるところ、といえばわかりやすいでしょうか(註・筆者は“わかりやすさ”を勘違いしています)。まあとにかく色々見て回りました。生まれ変わったあとの自分の部屋を妄想し、勃起しました。勃起しながら注文カードを手に取りました。勃起しながら「送料・一梱包につき1400円」の文字を見ました。勃起しながら「送料高い」と思いました。勃起しながら「送料高い」と繰り返し思いました。勃起しながら注文カードを元に戻しました。勃起しながら自転車こいで帰りました。勃起しながら「免許をとったら負けかなと思ってる」と強がりました。勃起しながら自分が何を書いているのかわからなくなってきました。とにかく棚を買うのはもう少しだけ後になりそうだな、ということですね、と勃起しながら総括。