SONS OF SMOKER

煙草を吸おうと思ったのである。ここ最近の喫煙量といったら肺にとってダルビッシュ有害なほど(マジ有害、の意)であったので、ここらでブレーキをかけねばならんと思い、バイトから帰って今まで二時間ほど、我慢していた。二時間に一本なら無罪だろう、まかり間違ってもダルビッシュ有罪には(ダルビッシュと言ってみたいお年頃、の意)なるまい。さあ吸おう。胸を張って、高らかに、平和を賛美しつつ吸うのだ。――と、カウンターテノールの音階で宣言したときであった、煙草とZIPPOをバイト先に忘れてきたことに気づいたのは。
「では早く取りに行けばいいじゃない、煙草を吸いたいんでしょう?」とマリー・アントワネット症候群のあなた方はおっしゃるでしょう。しかし外を見てください。あれですよ、風ですよ。危険ですよ。飛んじゃいますよ。僕飛んじゃう。こんな風に吹かれたらたぶんビーエイブルトゥーフライしちゃう。軽いの僕。とても軽いの。かるちゃんのランドセルとタイマン張ったらたぶん引き分けに持ち込めるくらい軽いの。だから危ないの。てか寒いの。こんな寒いのにわざわざ煙草を取りに行くためだけに自転車をチャリチャリこぎたくないの。「じゃあ吸うな」と織田信長症候群のあなた方はおっしゃるでしょう。でも吸いたいのよ。わかるでしょ? アンタァ、わかっとるんやろ? ウチが煙草無しでは生きられない身体になってるってことき知ってて、そういう酷いこと言うんやろ? いつだってそうや、アンタはアタシのことなんて一回も愛してはくれなかったんや、もう嫌や、絶縁や、あこがれや、欲望や、言いのがれや、恋人や、友達や、別れや、台風や、裏切りや、唇や、できごころや、ワイセツや、ぼろもうけの罠や、