布施明『少年よ』


仮面ライダー響鬼テーマソング「少年よ」 仮面ライダー響鬼テーマソング「少年よ」


2005年も半分が過ぎ去ったわけでありますが、その上半期で印象に残った曲を選べと言われると、真っ先に浮かぶのがこの曲で、それは成人男性としてどうなんだと思わないでもない。でも正直なところなのだから仕方がない。「仮面ライダー響鬼」という、日曜朝に放送されている仮面ライダーなのかどうかも疑わしい覆面男どもが活躍するヒーロー番組の主題歌「少年よ」、名曲です。「迷曲」だとかそういう皮肉要素は全く含まれてない。じつに名曲です。布施明神が発する力強くも優しさ溢れるメロディーライン。嫌味にならない程度の雄大なアレンジがほどこされたオケ部分。そして何よりも歌詞が素晴らしい。「仮面ライダー響鬼」のエンディングに流れるたび、身体が熱くなってしまう。

まるで透明になったみたい
ぜんぶ 自分をすり抜けていく
そんなふうに 感じてたのかい?


少年よ 旅立つのなら 晴れた日に 胸を張って…


Hit the beat! Keep your beat!
心が震える場所 探して
Hit the beat! Keep your beat!
誰にも出来ないこと 見つけ出せ
それが君の響き


「少年よ〜」のくだりが、とにかく素晴らしい。歌唱力ってこういうのを言うんだなあ、と思った。日本歌謡界の底力を見せつけられました。なぜか歌詞カードには三点リーダが入ってますが、歌い手である布施明神はそんなもん無視してます。神ですから。神に三点リーダは必要ない。神は「光よ、あれ……」とか言わない。だって弱そう。それこそ胸を張って「光よあれ!」ですよ。ビシーっと。「……」なフィーリングはこの曲にとって不要なものです。それと、細かいことになるんですけど、2コーラスめのAメロにおけるリズム・パターンが見事に僕のツボに入りました。直前のサビでドーンときたところで、いったんクールダウンしたものの、バスドラの4分打ちを続けることで、情熱は絶やさない。こういうベタな盛り上げ方にとことん弱い人間です。「少年よ、旅立つのなら 晴れた日に胸を張って」。うん、ほんといいフレーズだ。「仮面ライダー響鬼」を見ている子供たちにはこのメッセージが届いているだろうか。願わくば、今は理解できてなくていいから、大きくなるまでこの曲のことを覚えていてほしいものです。いつか、何かを感じるときが来る。
さて、永遠の少年である僕は晴れた日に胸を張ってガス料金払ってきます。