the pillows『the third eye』


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何度考えたろう。考えてもしょうがないのに、でも考えてしまう。そして理想と現実のギャップに落胆する。幾度も経験してきたことだ。わかっている。それでもなお思う。「これは売れるんじゃないの?」と。ポーズ付きで雲ひとつない青空に向かって思う。「これは売れてもいいんじゃないの? ねえ」と。そんな想いのことなんて知るよしもない近所のおばちゃんが、ポーズ付けて空を見上げる僕を横目に可燃ゴミを捨てていく。ゴミなんて燃やしてる場合じゃないのだ。ロック・ミュージックを聴いた僕の心は既に燃えているのだ。ギンギラギンにさりげないのだ。のっけからなんだこのポエムは。
ピロウズのニューシングル『サード・アイ』、これはじつにいい。前の『ノンフィクション』も良いデキだったけれど、それは「シングル全体として見た場合」であって、タイトル曲ひとつで勝負できるかというと、残念ながらそうではなかった。しかし『サード・アイ』はちょっと違う。タイトル曲だけでひとり立ちできている。直球だ。直球のギターサウンドだ。まっすぐ耳に届いてくる。「どうだ、おら!」という自信が垣間見える。垣間見えるっていうかダダ漏れだ。オンリー自信だ。「迷いのない歌詞」とかなんとか書いてあるのをよく見かけるけれど、歌詞とか結構どうでもいい。音だ。音に迷いがない。シンプルなコード、そのコードに誘われて自然とのっかるメロディー。名曲っていうのは結局単純なものだ。単純だからこそダイレクトに届く。第四期ピロウズ(僕は「FOOL ON THE PLANET」という曲の発表以降を勝手に『第四期』と規定している)の楽曲には「考えて作っている」ものが多いな、と常々思っていた(まあ当然、個人的な感覚であるけれども)。夢中になれない部分も、正直に言うと確かにあった。しかしこの「サード・アイ」は、小難しいことを考える前に「かっこいい」と思える曲だ。なんだかんだで、「ピロウズっていいな」という、ごくごく当然の結論に落ち着くのである。ピロウズいいなー。俄然ニューアルバムへの期待が高まってきた。『MY FOOT』と名づけられたそのアルバム、最初タイトル見たときはどうしようかしらと思ったが、んなことは気にせずに済みそうだ。いろいろやっていろいろ変わったような気がしたって、「身体」はいつだって自分のものだ。変わるはずがない。「足」だって同じだ。立ちあがれるようになってから今までずぅっと続けてきた「歩き方」は、ちょっとやそっとのことでは変わりやしない。