SCOOBIE DO『SCOOBIE DO』


SCOOBIE DO(初回盤)(DVD付)


気づけばスクービードゥーのニューアルバムばかり聴いているのである。発売当初、少し聴いただけで「17曲ってちょっと多いなあ。削ったほうが良かったんじゃ?」とのたまっていた僕を“塩素たっぷりの水に顔突っ込んで目をパチパチさせるの刑”に処したい。“風が強くて寒い日に腰洗い槽へ特攻(そのうえプールには入れない)の刑”、でもいい。とにかく厳罰だ。「ちょっと多い」? はは、馬鹿な。どこに削る余地があるというのか。17曲。キッチリだ。17曲あって、はじめて『SCOOBIE DO』たりえるのだ。
とにかく地上で呼吸している哺乳類は全員聴くべきなのですが、いきなりそんなこと言ったらツンデレ大流行のこのご時世、本当は聴きたいくせに「あ、あたしは魚類なんだからね! スクービーなんて興味ないんだからね!」とアマノジャクる御仁がいらっしゃらないとも限りませんから、ゆっくりとこの作品の魅力をね、魚類の方々にも「スクービーうぉっいいぜ!」と唸っていただけるように、僕なりに紹介していこうかなと。まず最初にですね、とにかく地球上で「オレ生きてるぜ!」と思ってる奴は全員聴けと、つべこべ言わずにCD屋行けと。福沢諭吉柄の紙切れ持ってけば余裕で交換してもらえるぞと。安いもんだと。まあそういうね、なんというかね、終わっちゃいましたね。


http://www.jvcmusic.co.jp/scoobie/
ここの右真ん中あたりにダイジェスト試聴コーナーがあるのでなにはともあれクリック。


と、これだけだとなんだか申し訳ないので順々に曲の感想でも。
M1「FLASH!」。“ア・アーン!”このシャウトでアルバムの9割がたは説明できたようなもんです(本当か?)。スクービー的に懐かしい感じ。M2「Funk Of One Nighter」。これ素晴らしいなあ。ギターとベースとドラムの絡み具合が「貴様ら腰を振れ!」な感じで、そりゃ振る。問答無用だ。ファンクな夜の、そのまた夜の夜な感じが音から滲み出てる。“終わるからたまんない”。何気ない言葉で何気なくない気分にさせてくれるのがスクービードゥーM3「Disco Ride」。お気に入りパーティー・チューン。イントロが流れ出した瞬間に身体が動く。そりゃダンスするしかない。ドラムスのハネっぷりがすこぶる気持ちよい。この曲までの流れが大好きだ。M4「やっぱ音楽は素晴らしいfeat.RHYMESTAR」。ライムスターとのコラボレーション。曲名のとおり、音楽賛歌です。いい歌。松木さんのギターが素晴らしくツボです。たぶんドラムなくても踊れる。アウトロがとてもカッコイイ。M5「Star Dread」。軽やかな曲が終わったと思ったらスロウで重みのあるナンバー。メリハリが効いてます。途中で高速ビートへ変化し、ガンガンバンド全体で登りつめたあとのア・テンポ・ブレイクがたまらない。射精。射精ブレイク。こんな曲を自分で演奏できたら快感だろうなあ。M6「Rock'n Roll」。歌詞なしで聴いたら「ロックンロール」とは思えないほどメロウな曲。ダンスパーティー後の切ない感じっていうんでしょうか。スクービー節ですなあ。染みわたる。M7「Believer」。私的ベスト・トラック。これもメロウなナンバーです。何がいいのか、一言で説明しづらいのですが、強いて言えば、いい曲というか、うん、いい曲なんです(説明できた)。サビのメロディーと歌詞が優しく、力強い。小山氏の声もいい感じに伸びていて。自分で自分を信じることができないと、人間やばいっすよね。M8「Beautiful Life」。そしてまたアッパーな感じに。言葉遊びが面白い。この曲に限らず言えることですが、バンドの演奏がとても濃いというのにそれが自然で、邪魔になったりしていないのは、ひとえに曲それ自体が完成されているからなのでしょうね。M9「BATDANCE」。誰もが知ってる曲ということでプリンスのカバーらしいのですが、恥ずかしながら僕は知りませんでした。アウトロの部分で「あっ、バットマンだ」と思ったくらい(笑)。ベースにエフェクトがかかっているのはスクービーとしては珍しい。でも一番目立つのはトランペットですね。切れ味あるわあ。Get the funk up!M10「本能Get Back」。ミドル・テンポのナンバー。「伸ばして、切る」ギターがカッコよすぎる。クール。ブレイクも決まってるし、サビでの「本能Get Back」の地声ヤケクソコーラスがじつにスクービーっぽい。M11「Breakin' Beaters」。ギター・リフの不協和音っぷりが逆にキャッチーな感じで耳に残ります。僕は「What's Goin'on」のリフを想起してしまったため、いっそう印象的でございました。ドラムがキてるなあ。まあ、ドラムは全曲キてるのですけれども。M12「What's Goin'on feat.RHYMESTAR」。前作『Funk-a-lismo』のリード・トラック。これもライムスターとのコラボです。SOIL&“PIMP”SESSIONSのトランペットとサックスも映えます。僕はとにかくイントロのギターフレーズが大好きです。歌謡的なコードなんでしょうか、スクービーにはない感じの和音で、絶妙なカッティング。ライブで一回聴いただけなのに覚えてしまってましたもの。M13「音楽を鳴らすように」。印象的な裏声コーラスがとてもとってもスクービードゥーな感じでシアワセな気分になれます。じつにいい曲だ。いい曲多すぎだこのアルバム。松木氏のバッキング・ギターが地味に大好きです。松木氏愛してます。M14「Guitar , Drums&Bass , Funky Microphone」。ギータードラムスアンベイス、ファーンキーマイクロフォーン! さあ皆さんご一緒に!(ご一緒に歌うためにアルバム聴きましょう)M15「Steppin' Loud」。ベースのフレーズが好きすぎる。オクターブを効果的に使われると弱い。ド・テー・テー・ドレドレテーみたいな。わかりやすいフレーズが好きな男です(僕のベース表現はわかりにくいと評判です)。これも踊れるなあ。踊れる曲ばっかりだ。M16「愛はどこだ」。タイトルどおり、いろんな意味でド直球な歌。あまりのド直球ぶりに購入当初は若干引いてましたが、余計なことを考えずに聴けばなんのことはない、いい曲ではないか。パワーがある。“夢中の意味を誰か俺に教えてくれ / 夢中だから訳わかんねぇ”。パワーがある、まったく。M17「月光」。アルバム最後を飾るのはスロウな「聴かせる」曲。もはや言葉は必要ありませんね。
なるだけコメントを短くしようとしたのにこの長さ。このアルバムの充実ぶりがうかがえます。ここまで読んでくれた人はもう愛してます。この愛が一方通行になってほしくない。あなたと愛し合いたい。スクービーを間に挟んで愛を語り合いましょう。