Hello, welcome to sennheiser's headphone(instant show)



ついに買ってしまった。ヘッドフォンに興味を持ってからというもの、ずぅっと心惹かれつづけてきた機種、ゼンハイザーのHD25-1。今まではオーディオ・テクニカの名機ATH-AD7という機種を使っていて、これだって1万円ほどしたので貧乏茨道の僕にとっては大冒険の買い物だったのけれど、今度は2万円越えである。定価は4万越えなのでかなり安く買えた。ゼンハイザーの本国ドイツではもっと普通に安いらしいが、日本ではその値段である。安く買えたっつったって2万越え。辛うじて天城越えはしていないけれど、僕の懐はさながら津軽海峡冬景色。「耳あてにそんな金払ってきみはじつにばかだな」という声が聞こえてくるようだ。実際ばかである。じつに実際ばかである。ぐうのねもでない。それでも求めてしまうのだ。福沢諭吉を数人里子に出すことさえ厭わない時というのが、人にはあるのだ。僕にとってそれがヘッドフォンだった。ただそれだけのこと。
ATH-AD7に僕は非常に満足していた。何時間ヘッドフォンオンマイヘッドしていても頭が痛くならないほどつけ心地が素晴らしく、すわちょっと金出したくらいでこんなに音が変わるのかという感動を味わわせてくれ、もともと音楽が好きだった僕を更にその道へと引きずり込んでくれた。買った当初は手持ちの音源をとっかえひっかえしては「すわ」「すわ」「諏訪」「スワン」と感嘆詞を並べ奉り、感嘆詞の生産量で埼玉県が北海道を抜いて暫定一位になったほどであった。特にクラシックの魅力に気づかせてくれた功績は計り知れない。しかし人間とは欲深きシロモノで、買って2年半が経過した今、その「すわ」が当たり前になってしまっていた。感嘆詞の生産量はみるみるうちにガタ落ち、それどころか「低音が弱いよね」とか言い出す始末である。僕はなんという罪深きシロモノなのだろうか。でもそれは否定できない事実で、ATH-AD7ではロック音楽をノリノリで聴くことはちょいと難しい。開放型ヘッドフォンの宿命である。低音が逃げてしまうのだ。自信満々に書いているがコレ全部「ように思う」を省略してあるのでよろしく。
密閉型。それが次に買うべきヘッドフォンだ。そう結論してはや幾年。幾年ってほどではないが、まあそれなりの年月。「買おう」と決心しては「でも高い」と躊躇し、「やっぱ買おう」と決心しては「でら高い」と味噌カツを食いながら躊躇した。優柔不断男の本領を発揮してしまっていたのだ。しかしつい最近変化が起こった。何を思ったか、アイポッドシャッフルという名の小型ジュークボックスを買ってしまったのだ。付属のイヤホンはウンコそのものの音質で、手持ちのソニー大先生のものも無難ではあるが取り立てて褒められた機種ではない。ならば。そう、中途半端なイヤホンを買うくらいなら、ヘッドフォンを買ってしまえばいいのではないか。そうですよね荒木先生、と巻末で相談した結果、僕は購入を決意した。そして注文した。昨日のことだ。


それが先ほど、届いた。宅配業者のピンポーンが鳴った時点で「すわ」。ダンボールを開けて「すわ」。箱に書かれた“SENNHEISER”の文字を見て「すわ」。実物持って「すわ」。感嘆詞の生産量が戻ってきたのだ。もう何をするにも「すわ」。今ならスワヒリ語だって喋れるような気がするくらいだ。こんなにもドキドキしながらモノを買ったのは本当に久しぶりだ。


LITTLE BUSTERS
とりあえずザ・ピロウズの『LITTLE BUSTERS』を聴いてみる。まだ全くエージング(経年変化のことで、ヘッドフォンは結構音の変化がある)をすましていないので何とも言えないが、それでも既に低音ガッツリである。とはいってもイコライザ的なブンブン音ではなく、くっきりしていてじつにノリがいい。「ロックに最適」の評判はダテではなかった。店で何回も試聴していたから基本的な方向は把握していたけれど、改めてそう思う。HD25の欠点としてよく挙げられるのが装着感の悪さで、遮音性が優れているがために側圧が強く、すぐドタマや耳が痛くなってしまうなんていう点があるのだけれど、僕はあまり側圧の強さは感じない。むしろピッタリしててヘッドバンキングバッチコイである。店で何回も試(中略)そう思う。音の分解能(っていうんですか?)については、現時点でATH-AD7との差はそれほど感じない。低音部がウヤムヤにならずしっかり鳴っている、それだけで充分である。ピロウズの「THAT HOUSE」という曲のベースをここまで心地よく聴いたのは初めてではなかろうか。何百回聴いたかわからないアルバムだけれど、まだまだ発見がありそうだ。バスドラムもきちんと聴こえる。そうそう、これなんだよ、僕が求めていたロックってのはこういう力強さ溢れる音なんだよ。


Zombies Aliens Vampires Dinosaurs (Bonus CD)
次はこのあたりにいってみようか。hellogoodbyeの最新アルバム。感想は書いてないけれど、かなりお気に入りの作品です。ピコピコ音とギュインギュインギター。もう絶対HD25に合うわあ。たまらんわあ。オチ? 今忙しいから後でね。