ツギハモットハゲシクオドッテクダサイ

もう3日前になるのか。去る1月19日、渋谷O-Eastで「Canadian Rock&Rule」というイベントを見てきました。カナディアンマンザ・ロックとサッカーのルールについて殴り合いながら語り合う夜ではもちろんなく、カナダでいい感じになっているミュージシャンが来日してライブをするイベントです。正直カナダと言われても、基本的に洋楽を「US」と「UK」で分けて考えてしまう初心者なので実感が湧きません。実際、来日した4組のうち3組は音源どころか名前も聴いたことがない有様。であるのに僕が嬉々として参加したのは、知っている1組というのがここ最近マイ超プッシュ野郎どもである「The New Pornographers」だったからなのです。近頃パワーポップしか聴いていない僕のミュージック・ライフの中でも極めて再生率の高いバンドが来る。行かないはずがあろうか! まあ、来日の情報自体は前から知っていたのですけれど、行きてえなあとモジモジしつつ、でもほか3組知らないしなあ、約6000円だしなあ、でも見たいなあ、いつもはマリアさまに見られているのだからたまには僕だって何かを能動的に見てもいいじゃないか――というようなチッポケ思考を繰り返していたのでした。そこに神、妄想ロックンロールというイベントの同士、よしーださんからの「いかないか」啓示。光よあった。大げさではなく跪く勢いでございました。この場を借りて再度御礼を申し上げまする。
イベントのほうはどうだったかというと、人の入りはまあすこぶる微妙だったわけですが、出演バンドの演奏はどれもクールなもので、とても良い夜が過ごせました。歌そのものはカントリーなのに演奏が要所要所でいい具合にヒネくれているバンドを見て「これがオルタナ・カントリーと呼ばれるものなのか」と新しい音楽との出会いに唸ったり、クラッシュがダイエットしてポリスになったようなバンドがとってもエネルギッシュだったり。アメリカとはまた一味違うカナダ音楽。もちろんこのイベントだけでカナダ・シーンを判断するのは早計もいいところでしょうけれど、「こんなんあるんだぜ」というパワーを感じました。カナディアンマンも草葉の陰で喜んでおることでありましょう。良いバンドばかり。
だがしかし、トリを飾ったThe New Pornographersは正直、格が違いました。単に僕が彼らのファンであるってのもあるんでしょうが、演奏が始まった途端に空気が変わったように思えました。その1曲目は「Sing me spanish techno」(PV→http://www.youtube.com/watch?v=qDUHJNVjpS0)。この曲好きなんです。「シングミスパニシュテクノウ」のところのメロディー&野郎裏声がたまらぬ。歌詞の意味はよう知らんのですが(おそらく彼らの書く歌詞はナンセンスなものが多いのではないか。なのであんま気にしてません)、タイトルに色気を感じるのですよ。PVはキモイの一言ですが。で、そのスパニシュテクノウに続いて「The laws have changed」。先日のDJでも流させていただいたこの曲、好きすぎて困ります。踊れすぎます。まあ僕はライブだと「踊る」とまではいかないノリ具合なんですが、心はブレイクダンシング。演奏中、「ああ、本当にニューポルノグラファーズがそこにいてライブをしている」と思って急に涙腺が緩みかけたりしました。彼らに限らず、「見る機会はないだろうなあ」と思っていたバンド(主に外国の)を見ると、なぜか感極まってしまいます。フーが来日したときは、直接見てもいないのにライブ映像を見ただけで泣いたりしていました。ニューポルノグラファーズのことをいつの間にここまで好きになっていたのだ。
その後も踊ったり感極まったり笑ったりしているうちに(笑いの発信地は主にニューポルノグラファーズのオデブさん。怪しげな、しかしニュアンスを理解した日本語で独特なMCをしてました)、いつの間にか終わり。アンコールに応えてくれるも(オデブさんが「キキタイキョクナイカ」と客に問いかけるも、出された案を「ヤヤコシイ」とか言って全て却下、なんて場面も)、正直、短い! もっともっと彼らの演奏を聴いていたかった。3枚しかアルバム出してねえんだから全部やれや、とオデブさんに言ったらどうなっただろうかなんて今になって妄想したりしています。超お気に入りの曲はほぼ聴けたので、もちろん満足ではあるのですけど、「The Electric version」や「To Wild Homes」などなど、聴きたい曲はまだまだあります。再来日を切に切に希望します。ぜひ単独で。これでもう二度と見られないなんて許しませんよボカア。でも今のところはあの夜の余韻に浸っておきます。よかったわあー。