いちからか? いちからせつめいしないとだめか?


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この月に買ったコミックスでございます。左から『よつばと!』7巻(あずまきよひこ)、『少女ファイト』3巻(日本橋ヨヲコ)、『黒博物館スプリンガルド』(藤田和日郎)。なんと無駄のないラインナップか。これは読まずに死ねるか、読んでおくべき、読む時、読めば読め、という漫画しか買っていません。これ以外にも何か購入したような記憶がなくもないのですが、この三作の前では残念ながら取るにたらないものでありましょう。とか言っといてめっさ好きなものを買ってたりするパターン。
よつばと!』はなんとなく雰囲気が変わったような気がします。よつばが成長してきたということなのでしょうか。表情も豊かになってますしね。相変わらずニコニコと気持ちのよい笑みを浮かべながら読めました。もちろん、第三者から見れば気持ちの悪い笑みであることは疑いようもありません。でも笑っちゃう。しょうがない。よつばに殴られる動物を見るたびに笑ってしまいます。前はヤギ、そして今回は羊がよつばに殴られたのですが、パンチヒット直後における彼らの絶対零度的無表情には、『ドラえもん』世界に通じる趣があります*1。「殴る」という言葉のチョイスもたまりません。子供が主人公のほのぼのコメディーなのに、「ぶつ」や「たたく」ではなく「なぐる」。しかも漢字で「殴る」。語感の持つバイオレンスさと、よつばと世界の柔らかさのギャップがどうにも笑える。ひとつかみのバイオレンス。まさに『ドラえもん』の魅力の一つではありませんか。「やんだはバカだな」というセリフも、なんか無理やり『ドラえもん』と結び付けたくなってしまいますな。
少女ファイト』、これも鉄板で面白い漫画です。日本橋ヨヲコさんが描く女性キャラの顔面造形に、いわゆる「萌え」というものを感じることは全くない僕ですけれど、この巻の小田切さんには何故か無性にドキドキドキドキさせられてしまいました。読んだ方は僕がどのシーンでドキをムネムネさせているかおわかりだと思うのですが、そのページ周辺をなんだか繰り返して読んでしまう。小田切さんの事情に限らず、作品全体的に今後の展開が非常に楽しみな漫画です。しかし隔週刊のイブニングにおいてこれまた休みを結構とっているので、発刊ペースが遅いのが残念。残念というか、僕を干からびさす気か。『もやしもん』といいイブニングってなあヨォウ。
そして『黒博物館スプリンガルド』。藤田和日郎が短編・中編の超名手であることを再確認しました。十郎兄さんの例を挙げるまでもなく、彼は単行本一冊くらいの分量で話を作るのが非常に巧い。非常に巧いというか、僕が勝手に非常に好んでいるだけなのですけれども。『スプリンガルド』も見せ場が沢山ある血の通った漫画でした。墓地を横切って跳ぶ二人のバネ足ジャックのコマがカッコよすぎる。話の熱さはもちろんのこと、絵単体でも僕もハートをぶったぎらせてくれます。大好きフジタカジュピロ。まさか「2007年僕的漫画大賞」の候補に同一漫画家のモノが入ってくるとは。『邪眼は月輪に飛ぶ』も『スプリンガルド』も甲乙つけがたし。ちなみにもう一つの大賞候補は『とめはねっ!』です。90年代黄金期サンデーで育った世代です。