幸せは歩いてこない だから超追う。超。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]
『新劇場版ヱヴァンゲリヲン 破』が届いたので見た。見終わり、また見た。また見終わり、またまた見、ようとして、腹が減っていることに気づいた。もう昼だ。とりあえず煙草に火をつけて一服しつつ、これを書き始めた。この映画が好きすぎる。なんでこんなに気に入ってしまったのか自分でもよくわからない。二十数年間生きてきたうちで、片手で数えられるほどしか映画館での鑑賞をしたことがなく、「映画とか、家で一人で見てェーシ。人がいっぱいいるところとか、だりィーシ」とメンドクサガリヤの最前線を行く僕の「片手」のうち指二本は、この『破』で折られた。エヴァンゲリオンという作品にそこまで特別な思い入れはないはずなのに、一度鑑賞し終えたあと、ボロボロ泣きながら「もう一回見よう」と自然に思った。エヴァのドストライク世代であるにも関わらずリアルタイムでTV放送を見ていないくせに、「この映画は俺のために作られた」とさえ思った。余談ではあるが、エヴァ放送時、僕は『ナデシコ』をこよなく愛する典型的星野ルリ少年であった。僕にとってエヴァは遠い世界での出来事で、隣にはいつも星野ルリがいた。星野ルリは正義だった。バカばっかとつぶやく彼女に「君もじつにバカだぜ」と言いたかった。もう一度もう一度生まれ変わって会えたなら今度はあなたの一番になりたかった――と、すぐ脱線するのが僕の悪い癖だ。しかも読者を遠のかせる方面への脱線。話を戻そう。
そんな僕であるけれど、とにかく『破』が好きなのだ。いい映画かどうかはわからんが好きなのだ。ストーリーやセリフなんぞわりとどうでもよく、映像と音楽がとにかく僕の感性にぴったりはまった。「そりゃないだろう」と思ってしまう演出がない。使徒の動き、エヴァの動き、カメラの動き、それらを優しく、ときに激しく包み込むバック・グラウンド・ミュージック。僕的名シーンの連続である。映画だろうが小説だろうが漫画だろうが、そんな「マイ琴線タッチもの」に出会えることはそうそうない。ミーハー上等である。はてなIDを「mihadiri」に変更することもいとわない。そんなめぐりあいに感謝したい。「。」を打つと同時に腹が鳴った。いいからなんか食わせろと内臓が僕をせきたてる。昼メシ何にしよう、と考えてみる。モワモワと浮かんでくるのは『破』のタコさんウインナーであった。内臓、ごめん。もうちょっと待ってもらうことになりそうだ。ウゴゴだなんて、そんな声で泣かないでおくれ。僕の頭はいま『破』でいっぱいらしい。ウゴゴ。ごめんて。

ここで唐突に「僕的名シーン」をみっつ挙げてみようと思う。ネタバレになるのでまだ見てない人は帰ろう。

1.マヤさん出勤シーン

「山下警部のテーマ」が流れる、第3新東京市の朝を描いた場面。最初に映画館で見たときから印象的だった。そりゃもう強烈に印象的だった。インターネットのマジックによって、このシーンで使われている曲が『太陽を盗んだ男』という映画のものだと知り、速攻で『太陽〜』のDVDを買ってしまったほどだった。朝日に照らされる近未来的な何か、土手、レールの切り替え、電車、マヤ、ニューバランスウィダー的な何か、伸びるビル、信号機、歩道橋、友達、コマツ文具店、学校、日常。テクノロジーとノスタルジーが絶妙のバランスとタイミングで映し出される。何もかもが僕的に完璧だ。チャプター13から頭出しできるもんだから、ついつい再生してしまう。映画史上最高のインターバル。と、映画を大して見ない僕が言っても説得力がゼロである。特典のフィルムでこのシーンが出たら死んでもいいと思っていたが、今僕は死んでいないので、まあそういうことだ。

2.エヴァ三体がクラウチングスタートから走り出すシーン

空から降ってくる変な人に待ったをかけにいく前半の山場。『破』に限らず、エヴァ作品全般において、山と高圧線の鉄塔が描かれるシーンは総じて良いものになる(ただ僕が、「自然」と「大きな人工物」の組み合わせが好きなだけなのだけれど)。スピードを落とさず曲がるために競輪のコースみたいなものが出てきて、そこを初号機がガンガンガンガンと走るところが一番かっこいい。CGってすごい。僕にとっては謎の技術。初号機のスタート場所がダムの前で、零号機は採掘場ってのもいいね。雄大な自然に溶け込まず居座るスケールのでかい人造物ラブ。

3.“シンジさん”

月並みでありふれた感想ではあるだろうけど、「綾波を、かえせ」以降は何故か涙なしには見れない。ジャイアンに勝ったのび太を見てボロボロに泣くドラえもんと似たような心境だろうか。「ドラえもんが安心して……帰れないんだ!」に勝るとも劣らない熱さ(F氏ファンの僕にとっては、これ相当な褒め言葉です)。ストーリーとかわりとどうでもいいなんて言っておきながら、コロリと手のひらを返す僕。

4.綾波とメシ食ってるとき、いやに素直な碇司令

メシ。そういえば腹が減っていたのだ。3つ挙げるとかいってナチュラルに4つめいくところだった。内臓がグゴゴゴうるさいし、なぜが膀胱も暴行を始め、肛門まで活火山になりかけてきたので、このへんで終わろうと思う。とにかく僕は『破』が好きだ。寝る前にもう二、三回、マヤさん出勤シーンを見ようと思う。ラーメンズ風に言うと、伊吹マヤの貴重な出勤シーン。